自律神経失調症になる原因とは
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れて、さまざまな身体的・精神的な不調を引き起こす状態のことです。自律神経は、心臓や血管、内臓、ホルモンなどの働きを調節する神経で、交感神経と副交感神経の二つの系統に分かれています。
交感神経は、ストレスや危険に対処するために身体を活性化させる神経で、副交感神経は、リラックスや回復のために身体を休息させる神経です。
通常は、この二つの神経が適切に切り替わり、身体の状況に応じて機能しますが、ストレスや生活習慣の乱れ、病気などの影響で、このバランスが乱れると自律神経失調症になります。
自律神経失調症の症状は、人によってさまざまですが、一般的には、不安やイライラ、抑うつ、不眠、頭痛、めまい、動悸、冷え、便秘、下痢、胃痛、吐き気、肩こり、腰痛、生理不順、更年期障害、免疫力の低下などが挙げられます。
これらの症状は、自律神経の働きに関係する器官や系統の機能障害によって引き起こされます。
例えば、不安やイライラは、交感神経の過剰な興奮によって、副腎から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンの影響で起こります。不眠は、副交感神経の働きが弱まって、睡眠に必要なメラトニンというホルモンの分泌が減少することで起こります。
頭痛やめまいは、血管の収縮や拡張が不規則になって、血圧や血流が乱れることで起こります。便秘や下痢は、胃や腸の運動が不正常になって、消化や吸収が悪くなることで起こります。
生理不順や更年期障害は、卵巣や子宮の働きが低下して、エストロゲンやプロゲステロンというホルモンのバランスが崩れることで起こります。
自律神経失調症の改善に漢方薬が役立つ理由
自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れて、さまざまな身体的・精神的な不調を引き起こす状態のことです。
漢方薬は、自然界にある植物や動物、鉱物などの成分を組み合わせた薬で、体の気・血・水という三つの要素のバランスを整えることで、自律神経のバランスを改善する効果が期待できます。
気・血・水とは、東洋医学の考え方で、体の機能や状態を表す概念です。気は、生命活動のエネルギーで、呼吸や循環などに関係します。血は、栄養や水分を運ぶ液体で、血液やリンパ液などに関係します。
水は、体内の水分や老廃物で、尿や汗などに関係します。これらの要素が不足したり、過剰になったり、滞ったりすると、体のバランスが崩れて病気になります。
漢方薬は、それぞれの要素の状態に応じて、補ったり、減らしたり、流したりすることで、体のバランスを取り戻すことを目的としています。
漢方薬の効果は、西洋医学的な薬に比べてマイルドで、効果に個人差が大きいという特徴があります。そのため、漢方薬を服用する際には、自分の体質や症状に合わせて、専門家に相談して適切な漢方薬を選ぶことが大切です。
また、漢方薬は、一般的に長期間服用することで効果が現れるものが多いので、根気よく続けることが必要です。漢方薬には、副作用や依存性の問題は少ないとされますが、まれにアレルギー反応や胃腸の不快感などを起こすことがあります。
その場合は、漢方薬を中止するか、別の漢方薬に変えることで、症状は改善されることが多いです。
自律神経失調症に効果・効能が期待できる漢方薬は、以下のようなものがあります。
抑肝散(ヨクカンサン)
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体力が低下していて、イライラや不安が強い人に適した漢方薬です。神経の興奮を抑えて、気持ちを落ち着かせます。不眠や神経症、小児夜泣きなどにも用いられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
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体力が中等度からやや虚弱気味で、疲れやすく、興奮しやすい人に適した漢方薬です。神経の高ぶりを抑えて、不安や動悸を和らげます。認知症に対しても使われています。
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
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体力が比較的あり、のぼせ気味でいらいらする人に適した漢方薬です。神経の過敏を鎮めて、不安や不眠を改善します。高血圧やめまい、胃炎、蕁麻疹などにも用いられます。
帰脾湯(キヒトウ)
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体力が低下していて冷えのある人に適した漢方薬です。体力を補って、貧血や心身疲労を改善します。不安や緊張、イライラや抑うつなどを抑え、寝つきをよくします。貧血や不妊症などにも用いられます。
酸棗仁湯(サンソウニントウ)
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体力が中等度からやや虚弱気味で、心身の疲れがあり、不安や神経過敏である人に適した漢方薬です。不眠や不安を改善して、気持ちを安定させます。中途覚醒にも有効です。
以上、自律神経失調症に効果・効能が期待できる漢方薬を紹介しました。漢方薬に興味がある方は、専門家に相談してみると良いでしょう。😊