時候の挨拶(じこうのあいさつ)と言えば、分かりやすく言えば季節の変化を取り上げた挨拶ですよね。友人同士ではあまり使う事はないでしょうが、仕事上、取引先に送る手紙やメールでは必要な事もあるかと思います。

 

 

そこでですが、この記事では時候の挨拶に役立つように1月~12月の決まり文句というのを、一通り抜粋してみました。季節ごとに、どの様な使い分けをするのか参考にしてもらえればと思います。

 

時候の挨拶(季節の挨拶)の意義について!

 

時候の挨拶は季節や天候などと共に、相手への心情を込める決まり文句で、文章の中では「頭語」の後に続く礼儀文です。時候の挨拶は、「安否を尋ねる挨拶」などと組み合わることでより綺麗な日本語となり相手への印象も変わっていきます。

 

季節の手紙やメールを送る際、役立つよう以下に「時候の挨拶」+「安否を尋ねる挨拶」の一覧表を作成しておきます。現在の季節と照らし合わせれば、どの時候の挨拶が適切なのか直ぐに分かるはずです。

 

時候の挨拶 1月 睦月(むつき)

新春の候 初春の候 厳寒の候 酷寒の候 晩冬の候

早いものでもう松の内も明け・・・

新春とはいえ厳しい寒さが続いております

大寒に入り、寒さもひとしおですが・・・

例年になく暖かな寒の入りでございます

 

時候の挨拶 2月 如月(きさらぎ)

余寒の候 春寒の候 立春の候

 

立春とは名ばかりの寒さではございますが・・・

予感なお厳しき折から・・・

歴の上では春とはいえ、いまだ厳しい寒さです

三寒四温の内に、春の訪れを感じます

 

時候の挨拶 3月 弥生(やよい)

早春の候 春暖の候 浅香の候

暑さも寒さも彼岸までと申しますが・・・

桃のつぼみも膨らみ、春の訪れを告げております

春光天地に満ちて、快い季節となりました

 

時候の挨拶 4月 卯月(うづき)

陽春の候 春暖の候 麗春の候 晩春の候

春日のどかな季節となり・・・

 

春風駘蕩、よい季節となりました

花曇りの穏やかな日が続いております

 

時候の挨拶 5月 皐月(さつき)

惜春の候 新緑の候 薫風の候 初夏の候

目に青葉山ほととぎす初鰹の季節となりました

若葉の緑が目にしみる季節となりました

五月晴れの好天が続いております

薫風緑樹をわたるよい季節・・・

 

時候の挨拶 6月 水無月(みなづき)

向夏の候 麦秋の候 梅雨の候

うっとおしい梅雨の季節となりましたが・・・

更衣の季節となりました

雨後の新緑がひときわ鮮やかです

庭のあじさいが日ごとに色を深めております

 

時候の挨拶 7月 文月(ふづき・ふみづき)

盛夏の候 酷暑の候 猛暑の候 炎暑の候

うだるような暑さが続いておりますが・・・

夏本番となりました

木陰の恋しい季節となりました

寝苦しい夜が続いておりますが・・・

 

時候の挨拶 8月 葉月(はづき)

残暑の候 晩夏の候 暮夏の候 残暑の候

立秋とは名ばかりの暑さではございませんが・・・

歴の上では秋といえ、いまだ厳しい暑さです

夏も盛りを過ぎ、しのぎやすい季節となりました

吹く風に、秋の訪れが感じられる今日この頃・・・

 

時候の挨拶 9月 長月(ながづき)

初秋の候 新秋の候 新涼の候 清涼の候

すがすがしい秋晴れが続いております

天高く馬肥ゆる秋となりました

虫の音に愛の深まりの感じられる季節・・・

一雨ごとに秋の深まりを感じるこの頃・・・

 

時候の挨拶 10月 神無月(かんなづき)

秋冷の候 仲秋の候 錦秋の候 金風の候 晩秋の候

秋も深まってまいりました

紅葉の美しい季節となりました

菊花薫る季節となりました

実りの秋の到来です

 

時候の挨拶 11月 しもつき(しもつき)

深秋の候 向寒の候 初霜の候 初冬の候

おだやかな小春日和が続いております

朝夕はめっきり寒くなってまいりました

セーターの恋しい季節となりました

 

時候の挨拶 12月 師走(しはす・しわす)

寒冷の候 孟冬の候 霜寒の候

師走の声を聞き、慌ただしい今日この頃・・・

今年もいよいよ押し迫ってまいりました

いよいよ本格的な冬将軍の到来です

 

時候の挨拶(季節の挨拶)の文章例2パターン

 

では、上記の時候の挨拶を使った文章例を紹介しておこうと思います。必ずしもという内容ではないのですが、おおよその目安にはなると思います。

 

【文章例その1】

 

拝啓 初冬の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さてこの度は見事な夕張メロンをお送りいただきまして、ありがとうございました。さっそく家族全員でいただきました。みずみずしい甘さが口いっぱいにひろがり、さすがは本場のものと、主人もたいへんに満足しておりました。いつもながらの温かいお心遣い、主人ともども心から感謝しております。

 お返しといっては失礼ですが、ささやかながら当地の海産物を、本日宅配便にてお送りいたしました。ご笑納いただければ幸いです。

 時節柄、なにとぞご自愛のほどお願い申し上げます。

 まずは書中にてお礼まで申し上げます。

敬具 

 

 

【文章例その2】

 

拝啓 新緑の候 目に青葉山ほととぎす初鰹の季節となりましたが、いかがお過ごしですか。

 さて、私もこの春無事に大学を卒業し、晴れて社会人となりました。入社して一ヵ月、ようやく仕事にも慣れてきたところです。

 〇〇さんは、あいかわらず家事に、育児に、大奮闘されている事でしょう。お子さんもずいぶん大きくなられたことでしょうね。

 帰省した折にはまた、ご挨拶にうかがいたいと思います。すっかりお母さんの顔になった〇〇さんに会えるのを、今から楽しみにしています。

 季節の変わり目です。くれぐれもお体にはお気をつけて下さい。

かしこ 

 

●前文の内容

書き出しに「拝啓」などの頭語を入れると、丁寧です。次に、時候の挨拶を入れます。季節の変化を取り上げて、挨拶とします。それに続けて、相手の安否を尋ねます。また、こちらの安否を伝えたり、ご無沙汰を詫びたりします。

 

●主文の内容

要件を簡潔に伝えます。親しい間柄なら、前文を省き、いきなり主文から入る事もあります。

 

●末文の内容

相手の自愛を祈る言葉や、要件を結ぶ言葉を書きます。前文に頭語を入れた時は、それに対応する結語を書きます。

 

●そのほかの注意点

相手の名前が行末にきたり、2行にまたがったりしないよう、文字と文字の間柄をあけたりして、字配りにも気を付けましょう。