Steamで楽しみにしていたゲームを購入したのに、いざ起動しようとすると、無反応になったり、エラーメッセージが表示されたりして、先に進めないという経験は少なくありません。
特にPCゲーム初心者の方にとっては、「何が原因で起動しないのか」「どうすれば直るのか」が分からず、困ってしまうことでしょう。この問題の解決には、PC側の設定、Steamクライアントの状態、そしてゲームファイル自体に潜む複数の要因を一つ一つ確認していく必要があります。
本記事では、Steamゲームが起動しない主な原因を徹底的に掘り下げ、誰でも簡単に試せる具体的な対処法を10選にまとめて、詳しく解説していきます。トラブルを解決し、快適なゲーミングライフを取り戻しましょう。
【この記事で分かること】
- Steamゲームが起動しないエラーが発生する主要な原因を特定できます。
- 原因に合わせた、即効性の高い具体的な対処法10ステップを知ることができます。
- ゲームファイルやクライアント設定を安全に修復する手順を理解できます。
- 今後の起動トラブルを未然に防ぐためのPCメンテナンスの基礎知識が身につきます。
- Steamでゲームが起動しない原因を徹底解説|なぜエラーが発生するのか
- Steamゲームが起動しない時の対処法10選|初心者でもできる改善手順
Steamでゲームが起動しない原因を徹底解説|なぜエラーが発生するのか
Steamでゲームが正常に起動できない場合、その原因は非常に多岐にわたります。単にゲームソフトの問題だと考える前に、お使いのパソコンのOSやグラフィックドライバ、セキュリティ環境など、PC全体の状態をチェックすることが重要です。
ここでは、ゲーム起動エラーの背後にある、発生頻度の高い主要な原因を、専門的な観点からシンプルに解説していきます。原因を正確に理解することで、適切な対処法を迅速に選択できるようになります。
まずは、お使いの環境で発生しているエラーがどのパターンに該当するか、見分けられるようにしましょう。
Steamクライアントの不具合でゲームが起動しないケース
ゲームを起動するための土台であるSteamクライアントソフトウェア自体に一時的な不具合が発生している場合、ゲームの起動コマンドが正しく処理されないことがあります。これは、長時間の連続使用や、前回のセッションが不完全に終了した場合などに、クライアント内部のメモリやキャッシュに古い情報や矛盾したデータが残ってしまうことで起こり得ます。例えば、Steamがフリーズしているわけではないのに、ゲームの「プレイ」ボタンを押しても何も反応がない、といった状況は、クライアント側の軽微なエラーが原因であることが多いです。
このような不具合は、PC全体を再起動するよりも、Steamクライアントを完全に終了させてから再起動するだけで解決することが多く、最も手軽に試せる解決策の一つです。タスクマネージャーを確認し、バックグラウンドで動いているSteam関連のプロセスも全て停止させる「完全な再起動」を行うことで、クライアント内部の状態をリフレッシュし、正常な動作に戻すことが期待できます。特に、Steam自体が頻繁にアップデートされているため、その都度発生する小さなバグが蓄積することも考えられます。
クライアント不具合の主な種類と対処の目安
ゲーム起動に関わるSteamクライアントの不具合は、いくつかのパターンに分類できます。
| 不具合の種類 | 発生時の状況例 | 対処の目安 |
|---|---|---|
| 一時的なメモリ/キャッシュの問題 | 「プレイ」を押しても反応がない、または数秒後にSteamに戻る | クライアントの再起動、ダウンロードキャッシュの削除 |
| クライアントファイルの破損 | Steam自体が起動しない、UIが正しく表示されない | Steamファイルの整合性確認、またはSteamの再インストール |
| バックグラウンドプロセスの競合 | 他のソフトを起動するとゲームが起動しない | 不要なバックグラウンドアプリの終了 |
これらのうち、ゲームが起動しないがSteam自体は動いている場合は、一時的なメモリやキャッシュの問題が最も可能性が高いと言えるでしょう。
インターネット接続やサーバートラブルによるエラー原因
Steamでゲームを起動する際、特にオンライン認証やDRM(デジタル著作権管理)の確認のために、インターネット接続が必要不可欠な場合があります。また、たとえオフラインゲームであっても、初回起動時やアップデート直後には、Steamサーバーとの通信が発生します。この通信が不安定であったり、完全に途絶えていたりすると、認証プロセスが完了せず、ゲームの起動エラーにつながることがあります。
さらに、Steamのサーバー側で大規模なメンテナンスや障害が発生している場合も、ゲームが起動しなくなる原因となります。特に新作ゲームのリリース直後や大規模セール期間中は、サーバーへのアクセスが集中し、一時的に認証システムがダウンすることもあるのです。この場合、ユーザー側でできる対処法は少なく、サーバーが復旧するのを待つしかありません。
まずは、お使いのインターネット接続(Wi-Fi、有線LAN)が安定しているか、また、他のウェブサイトが正常に閲覧できるかを確認することが重要です。Steamの公式ステータスページや、非公式のダウンディテクターサイトなどで、サーバー状況を確認する習慣をつけましょう。
接続状態の確認ポイント
ゲーム起動に影響を与える接続状態の確認は以下の手順で行います。
| 確認項目 | 具体的な確認方法 | 影響が疑われる場合の対処 |
|---|---|---|
| PCのネットワーク接続 | 他のウェブサイト閲覧、YouTube視聴などが正常か | ルーターやモデムの再起動、ネットワークアダプターのリセット |
| Steamサーバーの状態 | Steamの公式ステータスページ(Steamstat.usなど)を確認 | サーバーの復旧を待つか、オフラインモードでの起動を試す |
| ファイアウォール設定 | Steamおよびゲームの実行ファイルがブロックされていないか | Windows Defenderやセキュリティソフトの例外設定を確認 |
これらの項目をチェックすることで、問題がPC内部にあるのか、外部のネットワーク環境にあるのかを切り分けることができます。
セキュリティソフトやファイアウォールの設定が邪魔している場合
PCの安全を守るセキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)やWindows標準のファイアウォール機能は、時にゲームの起動を妨げる原因となることがあります。これらのセキュリティ機能は、PC内部で動作するアプリケーションが外部と通信する際や、特定のファイルアクセスを行う際に、それを「危険な動作」と誤認し、ブロックしてしまうことがあるためです。
特に、ゲームのインストールや初回起動時には、新しい実行ファイルがPC内の奥深いシステムファイルにアクセスしようとすることがあり、セキュリティソフトがこれをマルウェアの挙動と誤解するケースが報告されています。
起動エラーが発生した場合、セキュリティソフトのリアルタイムスキャン機能を一時的に無効化し、ゲームの起動を試すことで、原因の切り分けができます。もし無効化してゲームが起動した場合は、そのセキュリティソフトが原因であると特定できるため、Steamや該当ゲームの実行ファイル(.exeファイル)を「信頼できるプログラム」としてセキュリティソフトの「例外設定」や「除外リスト」に登録する必要があります。
この設定を怠ると、毎回起動時にソフトを無効化しなければならない手間が発生するため、必ず恒久的な解決策として除外設定を行いましょう。信頼できるゲームタイトルであれば、セキュリティ上のリスクはほとんどありません。
セキュリティソフトによるブロックの一般的な仕組み
ほとんどのセキュリティソフトは、以下の基準でアプリケーションを監視し、ブロックします。
実行ファイルのデジタル署名 ゲームの実行ファイルがセキュリティソフトのデータベースに登録されていない、または署名が正しくない場合にブロックされることがあります。 特定のシステムリソースへのアクセス ゲームがDirectXやVisual C++などの再頒布パッケージを利用してシステムファイルに近い動作を試みる際、過剰な防御反応を示すことがあります。
ネットワーク通信の監視 マルチプレイゲームがサーバーと通信しようとする際に、ファイアウォールが通信ポートを閉じていると、ゲームが起動できずエラーを吐き出します。セキュリティソフトの除外設定を適切に行うことで、ゲームが正常に動作し、かつPCのセキュリティも維持することができます。
参照元:Microsoft Support – Windows Defender ファイアウォールを経由するアプリを許可する
ゲームファイルの破損や不足による起動エラーの見分け方
Steamでゲームをダウンロードし、インストールする過程で、何らかの理由によりゲームを構成するデータファイルが破損したり、あるいはファイルが完全にダウンロードされずに不足した状態でインストールが完了してしまうことがあります。これは、ダウンロード中のネットワーク瞬断、HDDやSSDの軽微なエラー、あるいはSteamクライアント自体の一時的なエラーなどが原因で発生します。
このタイプの起動エラーは、ゲームを起動しようとした際に、特定のdllファイルが見つからないというエラーメッセージが表示されるか、「起動準備中」のウィンドウが出た直後に何も起こらなくなる、といった症状で現れることが多いです。特に、ゲームの動作に必須なファイルが破損または不足している場合、ゲームの実行プロセスは開始直後に必要なリソースを見つけられずに強制終了してしまいます。
この問題に対しては、Steamに標準搭載されている「ファイルの整合性を確認」機能が非常に強力です。この機能は、インストールされているゲームの全ファイルをSteamのサーバー上にある正しいデータと比較し、破損している部分や不足している部分を自動的に再ダウンロード・修復してくれます。この手順を実行することで、データ破損が原因の起動エラーは高確率で解決できます。
ファイル整合性チェックが修復できるデータ
この機能で修復されるデータは、主に以下のものが含まれます。
コアゲームファイル マップデータ、テクスチャ、ゲームロジックを構成する実行ファイルなど、ゲームの起動と進行に必須なファイル。 DirectXやVCRedistのインストールファイル ゲームの起動時に必要なランタイム環境(DirectXやVisual C++ 再頒布可能パッケージ)のインストーラーファイル。 軽微な設定ファイル 起動オプションやローカライズに関する設定ファイルの一部も修復の対象となることがあります。
ユーザーが作成したセーブデータやカスタム設定ファイルは、通常、Steamのゲームフォルダ外に保存されているため、このチェックで削除される心配はありません。
Windowsの互換性・権限設定が原因で起動できないパターン
ゲームが起動しない原因として、OSとの互換性の問題や、実行時の権限不足が挙げられます。特に古いゲームタイトルを新しいWindows 10や11の環境で起動しようとした場合、OS側の仕様変更やセキュリティ機能強化により、ゲームが要求する環境とOSの提供する環境が合致しない「互換性の問題」が発生することがあります。例えば、古いゲームが特定のレガシーなAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を要求しているにも関わらず、新しいOSがそれを提供しなくなっている場合などです。
また、ゲームの実行ファイルが、セーブデータを書き込んだり、設定ファイルを変更したりするために、通常ユーザー権限ではアクセスが制限されているシステム領域へのアクセスを必要とすることがあります。このとき、ゲームを通常のユーザー権限で起動していると、OSのUAC(ユーザーアカウント制御)機能によりアクセスが拒否され、ゲームの起動プロセスが停止してしまうのです。この問題の解決策としては、該当ゲームの実行ファイルを「管理者として実行」するように設定することが有効です。
これにより、OSからゲームに対して必要なアクセス権限が一時的に与えられ、正常に起動できるようになる可能性があります。ゲームをインストールしたフォルダ内の実行ファイルを右クリックし、「プロパティ」から設定を変更できます。
UAC(ユーザーアカウント制御)とゲーム実行
UACは、悪意のあるソフトウェアからシステムを守るためのセキュリティ機能ですが、ゲームの挙動をブロックすることもあります。
ゲームが起動時にブロックされるケース 一部のゲームは、起動時に管理者権限が必要なレジストリやシステムフォルダへの書き込みを試みるため、UACによって起動がキャンセルされることがあります。 互換モードで解決するケース 互換モード設定を古いWindowsバージョン(例:Windows XPや7)に切り替えることで、OSがレガシーな環境をエミュレートし、古いゲームが要求する環境を提供できるようになることがあります。
管理者権限での実行は、ゲーム起動のボトルネックを解消するシンプルかつ効果的な方法です。
グラフィックドライバの更新不足による不具合発生例
PCゲームを動かす上で、グラフィックボード(GPU)の性能を最大限に引き出すために不可欠なのが「グラフィックドライバ」です。このドライバが古いまま放置されていると、最新のゲームタイトルが必要とする描画技術や最適化された処理に対応できず、ゲームの起動時にエラーを吐き出したり、クラッシュしたりする原因となります。
特に、新しいゲームがリリースされる際、NVIDIAやAMDといった主要なGPUメーカーは、そのゲームに最適化された新しいドライバを同時に公開することが通例です。この「ゲームレディドライバ」と呼ばれる更新を適用しないと、ゲームがグラフィックボードの機能を正しく認識できず、結果として起動不能に陥ることがあります。
また、ドライバのバージョンが古すぎると、OSのアップデートとの兼ね合いで予期せぬ不具合を生じさせることもあります。ゲームが起動しないという症状だけでなく、起動しても画面が真っ暗になる、テクスチャが乱れるなどの症状が出た場合も、まずはグラフィックドライバの更新を疑うべきです。常に最新のドライバを使用することが、安定したゲーミング環境を維持するための基本となります。
主要GPUメーカーとドライバダウンロード先
お使いのグラフィックボードに応じて、以下の公式ウェブサイトから最新のドライバをダウンロードしてください。
| メーカー名 | 公式ドライバダウンロードページ | 参照元 |
|---|---|---|
| NVIDIA | GeForceドライバダウンロード | NVIDIA 公式ドライバダウンロード |
| AMD | Radeonドライバ&サポート | AMD 公式ドライバダウンロード |
| Intel | Intel Driver & Support Assistant (Intel DASA) | Intel 公式サポート |
ドライバを更新する際は、既存のドライバを完全に削除してから新しいものをインストールする「クリーンインストール」を行うと、不具合の発生を抑えることができます。
Steamのキャッシュや一時ファイルが原因のエラー対策
Steamクライアントは、ゲームのダウンロード、インストール、アップデートの過程で、大量のキャッシュファイルや一時的な作業用ファイルをPC内に生成します。これらのファイルは通常、処理が終わると自動的にクリアされますが、何らかのエラーや強制終了によって、古い情報を持ったキャッシュや破損した一時ファイルが残ってしまうことがあります。これが原因で、次にゲームを起動しようとした際に、クライアントが誤ったキャッシュを参照し、本来の起動処理が妨げられるというエラーが発生します。
例えば、ゲームのアップデートが途中で中断され、ダウンロードキャッシュ内に不完全なデータが残ってしまった場合、Steamは「アップデートが完了している」と誤認し、次に起動を試みると、必要なファイルが不足した状態でゲームが実行されようとしてクラッシュします。このようなキャッシュの残骸が原因の場合、Steamクライアントの設定から「ダウンロードキャッシュを削除」を実行することで、問題を解決できる可能性が高いです。
この操作は、Steamが持つ一時的なダウンロードデータを全て削除するだけであり、インストール済みのゲームファイルやセーブデータには影響を与えません。ダウンロードキャッシュの削除は、ファイル整合性の確認と並んで、比較的安全かつ効果の高い初期対処法として広く推奨されています。
キャッシュが溜まる仕組みとエラーの関係
Steamのキャッシュは、主に以下の2つの役割を持っています。
ダウンロードキャッシュ サーバーからダウンロード中のゲームデータを一時的に保存し、インストールフォルダに展開する前の作業領域として機能します。ここに破損データが残ると、次のダウンロードやインストールに影響が出ます。 ブラウザキャッシュ(Webキャッシュ) Steamクライアント内のストアページやコミュニティページを表示するために使用されるWebブラウザのキャッシュです。これが破損すると、クライアントのUI(ユーザーインターフェース)が不安定になることがあります。
これらのキャッシュは定期的に削除することで、クライアントの動作を常に安定させることができます。
Steamゲームが起動しない時の対処法10選|初心者でもできる改善手順

原因が多岐にわたるSteamのゲーム起動エラーですが、ほとんどの場合、専門的な知識がなくても実行できるシンプルな手順で解決できます。これからご紹介する10個の対処法は、原因の切り分けを兼ねた効率的な手順となっており、上から順に試していくことで、エラーを特定し、解決にたどり着く確率が格段に上がります。
特に、PCゲームに不慣れな初心者の方でも安心して取り組めるよう、一つ一つの手順を詳しく、分かりやすい言葉で解説していきますのでご安心ください。焦らずに、このリストをチェックリスト代わりにして、順に実行していきましょう。
【以下で分かること】
- Steamクライアントとゲームを正常な状態に戻すための具体的な10ステップ。
- ファイル破損を自動で修復するSteam標準機能の正しい使い方。
- PCのシステム環境(ドライバ、OS)を最新に保つためのメンテナンス方法。
- 最終手段である再インストールを行う前のデータバックアップ方法。
Steamクライアントを完全再起動してキャッシュをリセットする
ゲームが起動しないと感じたら、まず最初に行うべきは、Steamクライアントの完全な再起動です。これは、クライアント内のメモリ上に残った一時的な不具合やエラー状態をリセットし、まっさらな状態から起動プロセスをやり直す最もシンプルで効果的な方法です。単にウィンドウを閉じるだけでなく、タスクバーのアイコンを右クリックして「終了」を選択するか、タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)からSteam関連の全プロセスを終了させることが重要です。
もし、Steamの終了オプションが見当たらない場合は、タスクマネージャーを開き、「プロセス」タブの中から「Steam Client Bootstrapper」や該当ゲームのプロセスを見つけて、「タスクの終了」を押して強制的に終了させましょう。この完全終了の後、数分待ってから再度Steamを起動することで、クライアントが起動時に必要なシステムチェックを再度行い、古いキャッシュを参照することを防ぎます。
多くの軽微な問題、例えば「プレイ」ボタンが反応しない、または「準備中」の表示が一瞬で消えてしまうといった現象は、この再起動だけで解消されることが非常に多いです。PC自体を再起動するよりも迅速で、かつシステム全体への影響も少ないため、トラブルシューティングの第一歩として常に推奨されます。
完全再起動の手順
Steamクライアントを完全に停止させるための具体的な手順は以下の通りです。
- Steamクライアントのインターフェース上部にある「Steam」メニューをクリックし、「終了」を選択します。
- もしSteamが反応しない場合は、キーボードのCtrl + Shift + Escキーを同時に押し、タスクマネージャーを起動します。
- タスクマネージャーの「プロセス」タブで、「Steam Client Bootstrapper」や、起動しようとしていたゲームの名前を探します。
- それらのプロセスを右クリックし、「タスクの終了」を選択して、関連プロセスを全て停止させます。
- 全てのプロセスが消えたことを確認してから、再度Steamクライアントを起動します。
この手順により、不必要なプロセスがメモリを占有することを防ぎ、クリーンな環境でゲーム起動を試みることができます。
「管理者として実行」でSteamやゲームを起動する
Windows OSのセキュリティ機能であるUAC(ユーザーアカウント制御)は、PCを保護するために、アプリケーションのシステム領域へのアクセスを厳しく制限しています。しかし、一部のゲームタイトル、特に古いものや、特殊なDRMを採用しているものは、設定ファイルの書き込みやDirectXなどのシステムコンポーネントへのアクセスに、管理者権限を必要とすることがあります。
ゲームが通常のユーザー権限で起動した場合、必要なアクセス許可が得られずに起動プロセスが中断され、エラーや無反応の状態になることがあります。これを解決するためには、Steamクライアント自体、または起動したいゲームの実行ファイルを直接「管理者として実行」することが有効な手段となります。Steamクライアント自体を管理者として実行するには、デスクトップのショートカットアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
また、個別のゲームファイルに対して恒久的に管理者権限を設定したい場合は、ゲームのインストールフォルダ内の実行ファイル(.exe)を右クリックし、「プロパティ」→「互換性」タブから「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れて適用します。この設定により、ゲームはシステムから必要なリソースへのアクセス権を得ることができ、権限不足による起動エラーを回避できる可能性が高まります。ただし、信頼できないソフトウェアを管理者として実行するのはリスクがあるため、Steamで購入した正規のゲームでのみ試すようにしましょう。
管理者権限での実行が有効なケース
管理者権限が必要となるのは、主に以下の動作を行うアプリケーションです。
システムレジストリの変更 ゲームの設定や進捗状況をWindowsのレジストリに書き込む場合。 保護されたフォルダへのアクセス Program Filesなど、システムによって保護されているフォルダ内のファイルにアクセスまたは書き込みを行う場合。 ランタイム環境の初期化 DirectXや各種Visual C++のランタイムライブラリを初期化し、システムと連携させる場合。
管理者実行は、権限不足による問題をシンプルに解決する強力な方法の一つです。
ファイルの整合性を確認して破損データを修復する方法
ゲームが起動しない最も一般的な原因の一つが、ダウンロード中やインストール中に発生したファイルの破損や不足です。Steamはこの問題に対処するための非常に便利な機能を標準で提供しています。それが「ファイルの整合性を確認」機能です。この機能は、インストール済みのゲームフォルダ内の全ファイルをチェックし、Steamサーバー上にある正しいファイルのデータと照合します。
もし、ファイルが破損していたり、何らかの原因で一部のファイルが消えていたりした場合は、その部分だけを自動で検出し、サーバーから再度ダウンロードして修復してくれます。
このプロセスを実行するために必要な手順は非常に簡単で、Steamライブラリから該当のゲームを右クリックし、「プロパティ」を開き、「インストール済みファイル」タブの中にある「ゲームファイルの整合性を確認」をクリックするだけです。この確認作業は、ゲームのデータ量に応じて数分から数十分かかることがありますが、待つだけで破損ファイルを修復できるため、複雑な操作は一切必要ありません。
特に、何らかのエラーコードが表示されることなく、ただゲームがクラッシュする場合や、特定のアセットがロードできないといった症状が出た場合は、この整合性確認が決定的な解決策となることが多いです。この機能はセーブデータや設定ファイルなど、ユーザーが作成したデータに影響を与えないため、安心して試すことができます。
整合性確認の実行手順と期待される効果
- Steamライブラリを開き、起動しないゲームを右クリックします。
- 表示されたメニューから「プロパティ」を選択します。
- プロパティウィンドウの左側にある「インストール済みファイル」タブをクリックします。
- 「ゲームファイルの整合性を確認」ボタンをクリックしてプロセスを開始します。
- 破損ファイルが見つかった場合、自動的に修復(再ダウンロード)が実行されます。
この手順により、ほとんどのファイル破損による起動エラーが解消されます。
セキュリティソフト・Windows Defenderを一時的に無効化して確認
先に原因のセクションでも触れた通り、セキュリティソフトウェアがゲームの実行を妨げている可能性は非常に高いです。市販のウイルス対策ソフトだけでなく、Windowsに標準で搭載されている「Windows Defender(Windows セキュリティ)」も、新しいアプリケーションやシステムの奥深くにアクセスしようとするゲームの動作を「脅威」と誤認し、起動プロセスを遮断することがあります。
この問題を切り分ける最も簡単な方法は、セキュリティソフトのリアルタイムスキャン機能や、ファイアウォール保護を一時的に無効化し、その状態でゲームを起動してみることです。もし、セキュリティ機能をオフにした状態でゲームが起動した場合、原因は間違いなくそのソフトにあると特定できます。無効化する手順はソフトによって異なりますが、多くの場合はタスクトレイにあるアイコンを右クリックし、設定メニューから「一時停止」や「保護を無効化」といったオプションを選択します。
Windows Defenderの場合は、「Windows セキュリティ」設定画面の「ウイルスと脅威の防止」や「ファイアウォールとネットワーク保護」から一時的にオフにできます。原因が特定できたら、恒久的な解決策として、Steamクライアントと該当ゲームの実行ファイル(.exe)をセキュリティソフトの「例外設定」または「許可リスト」に登録してください。ただし、セキュリティソフトを無効化した状態はPCが無防備になるため、確認作業が終わり次第、必ず設定を元に戻すか、例外設定を適用するようにしてください。
除外設定を行う際の注意点
除外設定は以下の点に注意して実行してください。
除外対象の特定 Steamクライアントの実行ファイル(Steam.exe)だけでなく、ゲーム固有の実行ファイル(例:GameName.exe)も両方とも除外リストに追加してください。 一時的な無効化のリスク 原因の特定が目的であることを忘れず、長時間の無効化は避けてください。インターネットに接続している状態での無効化は特に危険です。
セキュリティとゲーム起動の両立のため、適切な除外設定が不可欠です。
参照元:ESET サポート – 特定のプログラムを検査対象から除外する方法
最新のグラフィックドライバをインストールして安定化させる
PCゲームの動作環境において、グラフィックドライバの役割は非常に大きく、起動トラブルの原因として見逃せません。ドライバが古いと、最新ゲームの描画要求に対応できず、ゲームがクラッシュしたり、起動エラーを吐き出したりします。特に、大規模なタイトルアップデートや、新しいDirectXバージョンを採用したゲームが登場した際は、メーカーが公開する「ゲームレディドライバ」への更新が必須となることがほとんどです。
お使いのPCに搭載されているグラフィックボード(NVIDIA GeForce、AMD Radeon、Intel Arc/Irisなど)を確認し、それぞれのメーカーが提供する公式ウェブサイトまたは専用の管理ソフトウェア(NVIDIA GeForce Experience、AMD Radeon Softwareなど)を使用して、最新バージョンのドライバをダウンロードし、インストールしてください。ドライバの更新作業を行う際は、単に上書きインストールするだけでなく、「クリーンインストール」のオプションを選択することが推奨されます。
クリーンインストールを行うと、古いドライバの設定ファイルや残骸を完全に削除してから新しいドライバが導入されるため、古いデータによる競合や不具合の発生を防ぐことができます。ドライバの更新は、ゲームの安定性だけでなく、パフォーマンスそのものを向上させる効果もあるため、定期的なチェックを習慣づけましょう。この作業は、グラフィックボードの性能を最大限に引き出し、起動エラーを減らすための基本的なメンテナンスとなります。
クリーンインストールの重要性
クリーンインストールは、ドライバ更新におけるトラブルを避けるために非常に重要です。
残留ファイルの排除 以前のドライババージョンで発生したバグや設定の残留物を完全に削除し、システムをクリーンな状態に戻します。 競合の防止 古いバージョンと新しいバージョンのドライバファイルが混在することによる予期せぬ競合エラーを防ぎます。
ドライバ更新は、公式ツールを利用して簡単かつ安全に行うことができます。
参照元:NVIDIA サポート – GeForce Experience を使用して NVIDIA Graphics Driver をクリーン インストールする方法
Windowsアップデートを適用して互換性を改善する
ゲームの起動問題は、ゲーム側だけでなく、土台となるWindows OS側に原因があることもあります。特に、Windowsのバージョンが古いままになっていると、ゲームが要求する最新のシステム環境やセキュリティプロトコルに対応できず、互換性の問題で起動に失敗することがあります。マイクロソフトは定期的にWindowsアップデートを提供しており、これにはバグ修正だけでなく、最新のハードウェアやソフトウェアとの互換性を高めるための重要な改善が含まれています。
ゲームの起動エラーを解消するためには、まずOSが最新の状態であることを確認し、未適用の重要なアップデートがあればすべて適用することが大切です。Windowsの「設定」→「更新とセキュリティ」(または「Windows Update」)から、現在の更新状態を確認し、「更新プログラムのチェック」を実行してください。
また、Windowsのメジャーアップデート(例:Windows 10からWindows 11への移行、または大型機能アップデート)によって互換性の問題が発生した場合は、逆に「互換性モード」を設定することで解決する場合もあります。これは、ゲームの実行ファイルを右クリックし、「プロパティ」→「互換性」タブで、ゲームが開発された当時のWindowsバージョンを選択して実行する設定です。しかし、基本的にはOSを最新に保つことで、最新ゲームとの互換性が向上し、セキュリティも強化されるため、アップデートの適用を最優先で試みてください。
OSアップデートと互換性の関係
OSアップデートは、以下のようなシステムレベルの互換性問題を解決します。
ランタイム環境の最新化 DirectXや.NET Frameworkなど、ゲームが依存するOSコンポーネントを最新の状態に保ちます。 セキュリティ強化によるバグ修正 古いOSバージョンに内在していた、特定のアプリ起動に影響を及ぼすバグが修正されることがあります。
OSを最新の状態に保つことは、ゲーミングPCの基本中の基本です。
参照元:Microsoft サポート – Windows の更新
Steamのダウンロードキャッシュを削除して再試行する
Steamクライアントがゲームのダウンロードやインストールに使用する一時的なデータ、つまり「ダウンロードキャッシュ」が破損していると、ゲームの起動プロセスが正しく完了しない原因になることがあります。これは、クライアントが誤って古いキャッシュや不完全なデータを参照し、必要な実行ファイルやランタイムが揃っていない状態で起動を試みてしまうために起こります。
この問題を解決するには、Steamクライアント内の設定から、ダウンロードキャッシュを完全に削除する作業を行います。この操作は、インストール済みのゲームデータやセーブデータに一切影響を与えずに、一時的なダウンロード関連のデータのみを削除するため、非常に安全性が高い対処法です。手順は、Steamクライアントの左上にある「Steam」メニューから「設定」を選択し、設定ウィンドウの左側にある「ダウンロード」タブをクリックします。
そこにある「ダウンロードキャッシュをクリア」ボタンを実行してください。この操作を行うと、Steamクライアントは自動的に再起動を要求します。再起動後、Steamに再度ログインし、起動しなかったゲームを改めて実行してみてください。このシンプルな手順で、特にアップデート後にゲームが起動しなくなった、またはダウンロードが完了しないといった問題が解決することが多く報告されています。
キャッシュクリアの手順
ダウンロードキャッシュをクリアする具体的な手順は以下の通りです。
- Steamクライアントの左上にある「Steam」メニューをクリックし、「設定」を開きます。
- 設定ウィンドウ内の左メニューから「ダウンロード」を選択します。
- 画面中央にある「ダウンロードキャッシュをクリア」ボタンをクリックします。
- 確認メッセージが表示されたら「OK」または「クリア」を選択します。
- Steamクライアントが自動的にログアウトされ、再ログインを求められます。
キャッシュのクリアは、ダウンロード・インストール周りの問題を解消するための特効薬です。
DirectX・Visual C++ 再頒布パッケージを再インストールする
多くのPCゲーム、特にWindows上で動作するタイトルは、描画やシステム連携のために「DirectX」や「Visual C++ 再頒布可能パッケージ(VCRedist)」といったマイクロソフト提供のランタイムライブラリに依存しています。これらはゲームがPC上で正しく動作するために必須の「土台」のようなもので、これらのファイルが何らかの原因で破損したり、インストールが不完全であったりすると、ゲームは起動直後に必要なリソースを見つけられずにエラーを吐き出してしまいます。
Steamで購入したゲームを起動する際、多くの場合、初回起動時にこれらのランタイムが自動でインストールされる仕組みになっていますが、このインストールプロセスが失敗することがあります。この問題を解決するためには、これらのランタイム環境を手動で再インストールすることが非常に有効です。Steamのゲームファイルの整合性チェック機能は、これらのパッケージのインストールファイルを修復する役割も担っていますが、手動でマイクロソフトの公式サイトから最新版をダウンロードしてインストールし直す方が確実です。
DirectXはOSの一部として提供されていますが、VCRedistは個別にダウンロードが可能です。最新のVCRedistパッケージをインストールすることで、既存の破損したファイルが上書きされ、ゲームが必要とする動作環境が整い、起動エラーが解消されることが期待できます。
VCRedistの役割と再インストール方法
Visual C++ 再頒布可能パッケージは、C++で書かれたゲームの実行に必要な共通ライブラリを提供します。
VCRedistの主な役割 ゲームが使用する共通の関数やコードが含まれており、これが不足すると「MSVCP*.dllが見つかりません」といったエラーが発生します。 再インストール手順 マイクロソフトの公式ダウンロードセンターから最新の「Visual C++ 再頒布可能パッケージ」をダウンロードし、実行することで修復・再インストールが可能です。
ランタイム環境の再インストールは、システム関連のエラーメッセージが出た場合の最終的な解決策の一つです。
参照元:Microsoft サポート – 最新のサポートされている Visual C++ のダウンロード
オーバーレイ機能を無効化して起動を軽くする方法
Steamには、ゲーム中にフレンドとのチャットやWebブラウザアクセス、実績の確認などができる「Steamオーバーレイ」機能が搭載されています。この機能は非常に便利ですが、ゲームの起動プロセスにおいて、ゲーム自体のリソースとは別にオーバーレイ機能がリソースを消費するため、PCのスペックがギリギリの場合や、特定のゲームとの相性が悪い場合に、起動時の負荷が増大し、エラーの原因となることがあります。
特に、ゲームが起動する直前でクラッシュする、または画面が真っ暗なままフリーズするといった症状が出た場合は、オーバーレイ機能がゲームの描画処理に干渉している可能性を疑うべきです。オーバーレイ機能を無効化することで、ゲームはPCのリソースをより専念して利用できるようになり、起動時の負荷を軽減できます。
無効化の手順は簡単で、Steamクライアントの「設定」メニューから「ゲーム中」タブを選択し、「ゲーム中にSteamオーバーレイを有効にする」のチェックを外すことで、全てのゲームでオーバーレイ機能が無効になります。また、特定のゲームでのみこの機能を無効にしたい場合は、ライブラリ内の該当ゲームを右クリックし、「プロパティ」の「一般」タブにある「ゲーム中にSteamオーバーレイを有効にする」のチェックを外すことも可能です。このシンプルな設定変更が、意外にも多くの起動トラブルを解決する場合があります。
オーバーレイ無効化の手順
オーバーレイ機能の無効化手順は以下の通りです。
- Steamクライアントの左上にある「Steam」メニューから「設定」を開きます。
- 設定ウィンドウ内の左メニューから「ゲーム中」を選択します。
- 「ゲーム中にSteamオーバーレイを有効にする」のチェックを外します。
- これで全てのゲームでオーバーレイが無効化されます。個別のゲームのみ無効にしたい場合は、ゲームのプロパティから設定してください。
リソースの解放は、低スペックPCや古いゲームにとって特に有効な手段です。
再インストール前にバックアップしてから試す最終手段【まとめ】
これまでに挙げた全ての対処法を試してもなおゲームが起動しない場合、最後に残された手段は「ゲームの再インストール」です。再インストールは、ゲームの全ファイルを削除し、再度サーバーからダウンロードしてインストールし直すため、ファイル破損やインストール時の設定ミスなど、あらゆる種類のゲームファイル側の問題を根本的に解決できます。
しかし、再インストールは非常に時間とデータ容量を消費する作業となるため、実行する前には必ず「セーブデータ」のバックアップを取っておきましょう。多くのSteamゲームは「Steam Cloud(クラウドセーブ)」に対応しており、セーブデータは自動的にクラウドに保存されますが、全てのゲームが対応しているわけではありません。念のため、ゲームのセーブデータが保存されているフォルダ(通常は「ドキュメント」フォルダ内やSteamのユーザーデータフォルダ内)を手動で確認し、別の場所にコピーしてバックアップを取っておくことを強く推奨します。
バックアップが完了したら、Steamライブラリから該当ゲームを右クリックし、「管理」→「アンインストール」を選択して削除してください。アンインストール後、再度「インストール」ボタンを押してダウンロードとインストールを行います。これが、あらゆるソフトウェア問題を解決する「最終手段」となります。
再インストール前のセーブデータバックアップ
セーブデータのバックアップは、再インストールで進行状況を失わないために不可欠です。
バックアップの重要性 Steam Cloudが有効になっていない場合や、クラウド同期に失敗している場合に、再インストールでセーブデータを失うリスクがあります。 セーブデータフォルダの探索 ゲームのプロパティの「ローカルファイル」からインストールフォルダを開き、そこからセーブデータフォルダ(多くの場合、steamapps/common/<GameName> フォルダ内や、Windowsの%USERPROFILE%/Documentsフォルダ内)を探します。
最終手段として再インストールを安全に行うためにも、このバックアップ作業を忘れないでください。
【まとめ】
Steamゲームの起動トラブルを解決するためのステップを以下にまとめます。
- Steamクライアントを完全に終了し再起動する(最も手軽な最初のステップ)。
- ゲームとSteamクライアントを「管理者として実行」して権限不足を解消する。
- Steamの「ゲームファイルの整合性を確認」機能で破損ファイルを自動修復する。
- セキュリティソフト(Windows Defender含む)を一時的に無効化し、原因の切り分けを行う。
- NVIDIA, AMD, Intelの公式ウェブサイトから最新のグラフィックドライバをインストールする。
- Windows Updateを確認し、未適用の重要なOSアップデートを全て適用する。
- Steamの「ダウンロードキャッシュを削除」し、ダウンロード周りの問題を解消する。
- DirectXやVisual C++ 再頒布可能パッケージをマイクロソフトのサイトから再インストールする。
- Steamクライアントの設定から「オーバーレイ機能」を無効化して負荷を軽減する。
- セーブデータをバックアップした上で、ゲームをアンインストールし再インストールする。
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