年末が近づき、街にクリスマスのイルミネーションが灯り始めると、私たちの頭をよぎるのは「年賀状」の準備です。 いざ気合を入れて年賀状を作成しようと久しぶりにPCに向かったものの、他のソフトやエクセルで長年管理していた大切な住所録データが、なぜか「筆まめ」にうまく取り込めない……。そんなトラブルに直面し、画面の前で頭を抱えている方は非常に多いものです。 「去年までは普通にできていたはずなのに」「エクセルでは問題なく開けるのに、なぜ?」という焦りは、期限が迫る年末には精神的にも大きな負担となります。
長年PC関連の記事を執筆し、多くのトラブルシューティングを行ってきた私の元にも、毎年11月から12月にかけてはこの「CSV取り込み」に関する相談が殺到します。 「ファイルが読み込めない」「文字が化けて読めない」「名前と住所がごちゃ混ぜになる」といった悲鳴に近い声を聞くたびに、私は「またこの季節が来たか」と感じると同時に、解決策を知っていれば数分で終わる作業で何時間も悩んでいる方々を救いたいという思いに駆られます。
実は、筆まめでCSV取り込みに失敗する原因の9割以上は、ソフトの不具合ではなく、ファイル形式のほんの些細な違いや、データ内の目に見えないゴミ、並び順といった「単純なルール違反」によるものです。 これらは知っていれば防げるものばかりですが、普段あまり意識しない部分であるがゆえに、ベテランの方でも意外とつまずく落とし穴となっています。
この記事では、パソコン操作に自信がない方や、専門用語を聞くと身構えてしまう方でも確実に住所録を移行できるよう、プロの視点でつまずきポイントを徹底的に深掘りして解説します。 単なる手順の説明だけでなく、「なぜエラーが起きるのか」という理屈も噛み砕いて説明することで、応用が効く知識として身につけていただけるはずです。解決への最短ルートを一緒に進んでいきましょう。
【この記事で分かること】
- CSV取り込み失敗の主要原因とエラーパターンの特定
- 文字化け・項目ズレの修正手順(Excel・筆まめ設定)
- 成功率を上げるデータ整形とテンプレート作成術
- データ消失を防ぐ安全なバックアップと運用フロー
筆まめで住所録CSVが取り込みできない原因と基本チェック
住所録の引っ越し作業において、「CSV形式」は異なるソフト同士をつなぐ万能な橋渡し役として広く知られています。 しかし、このCSV(Comma Separated Values)という形式は、実は非常にデリケートで融通が利かない一面を持っています。 「Excelではきれいに開けるのに、筆まめではエラーが出る」という現象は、ソフトが壊れているわけではなく、データの「方言」が合っていないために会話が成立していない状態に似ています。
まずは焦って何度も取り込みを試みるのではなく、手元のファイルが筆まめにとって「読みやすい状態」になっているか、基本的な部分から疑ってかかることが解決への第一歩となります。 ここでは、エラーメッセージが表示されたり、読み込みボタンを押しても何も起きなかったりする場合に、まず確認すべき基本項目を洗い出していきましょう。
筆まめ 住所録 CSV 取り込みが失敗する代表的な原因とは?
筆まめに限らず、宛名職人や筆ぐるめなど、住所録ソフト間のデータ移行でトラブルが起きる原因は、驚くほどパターン化されています。 多くのユーザーは「マニュアルの手順通りにやっているはず」と思い込んでいますが、無意識のうちに不要なデータを含めていたり、互換性のない形式を選んでいたりすることがほとんどです。 まずは、ご自身の状況が以下のどのパターンに当てはまるか、冷静に確認してみましょう。原因さえ特定できれば、対策は決して難しくありません。
エラー原因と症状の対照表
| エラー・症状 | 主な原因 | 詳細な解説と確認ポイント |
|---|---|---|
| ファイルを選択しても反応がない | ファイル形式(拡張子)の誤り | Excel保存時に「Excelブック(.xlsx)」のままになっている、または特殊なCSV形式を選んでいる可能性があります。拡張子が「.csv」であることを確認してください。 |
| 取り込み後に文字が記号だらけ | 文字コードの不一致 | データの中身が「UTF-8」などの新しいコードで書かれており、古い基準の筆まめが解読できていません。Shift-JISへの変換が必要です。 |
| 名前や住所がずれて表示される | 区切り位置や列の指定ミス | データがカンマではなくタブやスペースで区切られている、あるいは列の割り当て設定が間違っています。データの並び順を見直す必要があります。 |
| エラーが出て取り込みが中断する | データ内の不要な空白や記号 | 見た目には何もない行に「スペース」が入っていたり、環境依存文字(旧漢字や絵文字)が含まれていたりして、処理が止まっています。 |
参照元:ソースネクスト 公式Q&A「他形式ファイルの読み込み(インポート)方法」
このように、一口に「取り込みできない」と言っても、その症状によって見るべき場所は全く異なります。 特に最近のExcelは高機能になっている分、保存形式の選択肢が非常に増えており、これが初心者の方を混乱させる大きな要因となっています。 「なんとなくCSVを選んだ」では通用しないのが、このデータ移行の難しいところです。まずはエラーメッセージや画面の挙動をよく観察し、上記の表と照らし合わせてみてください。
CSVファイル形式が違うと読み込めない?保存形式の確認方法
「CSVファイル」と一言で言っても、実は中身の構造にはいくつかの種類があり、これが最大の落とし穴となります。 Excelの「名前を付けて保存」の画面を開くと、ファイルの種類を選ぶプルダウンメニューの中に、「CSV」と名のつくものが複数存在することにお気づきでしょうか。 ここでの選択を間違えると、拡張子が同じ「.csv」であっても、筆まめは「これは私の知っている形式ではない」と判断し、読み込みを拒否したり、文字化けを起こしたりしてしまいます。
主なCSV形式の違いと特徴
CSV(カンマ区切り) (*.csv)
これが最も標準的で、最も安全な形式です。筆まめを含む多くのWindows用ソフト(会計ソフトや管理システムなど)で最も安定して動作します。迷ったら必ずこれを選んでください。
CSV(Macintosh) (*.csv)
その名の通り、Macで作成されたデータの場合に使われます。Windows版の筆まめでこれを読み込むと、改行コード(行の終わりを示す記号)の違いにより、すべてのデータが1行につながってしまったり、認識されなかったりする不具合が出ることがあります。
CSV(UTF-8) (*.csv)
最近のWebサービス(GoogleコンタクトやiCloudなど)や最新のアプリとの互換性は高いですが、古いバージョンの筆まめでは文字化けの主原因になります。比較的新しい形式のため、対応していないソフトも多いのです。
確認方法は、保存したいファイルを右クリックして「プロパティ」を見るか、Excelで再度「名前を付けて保存」を選び、現在のファイルの種類を確認することです。 もし「CSV(カンマ区切り)」以外になっていた場合は、改めてこの形式を選択して保存し直してみてください。 「たったこれだけのことで?」と思うかもしれませんが、これだけであっさりと読み込めるようになるケースは全体の半数近くを占めます。
Excelの列名設定が原因で取り込みエラーが出るパターン
データの中身は合っているのに、筆まめ側が「どれが名前で、どれが郵便番号かわからない」と混乱してしまうケースがあります。 これは、CSVファイルの1行目にある「列名(ヘッダー)」が、筆まめの期待する言葉と異なっている、あるいはヘッダーそのものがない場合に起こります。 人間が見れば「〒」マークがあれば郵便番号だとわかりますし、「東京都…」とあれば住所だと直感的に理解できます。しかし、コンピューターは「ここは郵便番号ですよ」という正確なラベル(指示)がないと判断できません。
推奨される列名の例とポイント
氏名 「名前」や「氏名」とシンプルに表記します。もし姓と名が別のセルに分かれている場合は、「氏名(姓)」「氏名(名)」のように明確に区別します。
郵便番号 「〒」や「ZipCode」などの記号や英語は避け、「郵便番号」と漢字で入力します。ハイフンの有無(123-4567か1234567か)は、筆まめ側の設定で吸収できることが多いですが、列名は正確にしておくべきです。
住所 「住所」とまとめても良いですが、番地や建物名が長い場合は「住所1」「住所2」のように分けると、宛名印刷時のレイアウトがきれいになります。「住所1」に都道府県から番地まで、「住所2」にマンション名などを入れるのが一般的です。
もし1行目に列名がなく、いきなり「山田 太郎」などのデータから始まっている場合、筆まめは1行目のデータを列名として誤認してしまうことがあります。その結果、大切な一人目のデータが消えてしまったり、項目割り当てがうまくいかなかったりします。 Excelでファイルを開き、1番上の行に行を挿入して、わかりやすい項目名を入力してから保存し直すことを強くお勧めします。 このひと手間で、筆まめ側の「自動割り付け機能」が正しく働き、手動での設定作業(マッピング)を大幅に減らすことができます。
文字化けが起きる理由と正しい文字コード(Shift-JIS)の選び方
取り込み画面のプレビューで、漢字やひらがなが「」や「åHG¥」のような意味不明な記号列になってしまっている経験はないでしょうか。 これは「文字コード」という、文字をコンピューター上で表現するためのルール(翻訳ルールのようなもの)が食い違っているために起こる現象です。 日本のWindows環境で長く使われてきたソフト(筆まめ、Word、Excelの旧来の機能など)の多くは「Shift-JIS(シフトジス)」というルールで作られています。 一方で、最近のWebサービス(Gmail、Facebookなど)やスマホアプリから書き出したデータは「UTF-8」という世界共通ルールになっていることがほとんどです。
文字コードの確認と修正手順
メモ帳で開く 対象のCSVファイルをExcelではなく、Windowsの「メモ帳」で開いてみてください。右クリックメニューの「プログラムから開く」から選択できます。
ステータスバーを確認 メモ帳が開いたら、画面の右下(ステータスバー)を見てください。ここに現在の文字コードが表示されています。「UTF-8」と表示されていたら、それが文字化けの原因です。
名前を付けて保存で修正 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選びます。保存ダイアログの下部に「エンコード」というプルダウンメニューがあります。
ANSIを選択 エンコードを「UTF-8」から「ANSI」に変更して保存します。この「ANSI」というのが、WindowsにおけるShift-JIS扱いとなります。
これを筆まめで読み込めば、まるで魔法のように文字化けは解消され、正しい日本語が表示されるはずです。
参照元:Microsoft サポート「テキスト (.txt または .csv) ファイルのインポートとエクスポート」
空白行・不要データが筆まめCSV取り込みを妨げるケース
見た目にはきれいな住所録データに見えても、データの末尾や途中に「目に見えないデータ」が残っていると、致命的なエラーの原因になります。 例えば、以前データが入っていたセルをDeleteキーで消した場合、文字は消えてもExcel上では「かつてデータが存在した行」として、書式設定などの情報が残り続けることがあります。 筆まめはこれを「不完全なデータ行がある」と判断し、「データ形式が不正です」といったエラーを出して、取り込み処理全体をストップさせてしまうことがあるのです。
見えないゴミデータを掃除する方法
データの最終行を確認(Ctrl + End) キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「End」キーを押してください。カーソルがどこに飛ぶでしょうか?もしデータがある最後の行(例えば100行目)よりも遥か下(例えば10000行目など)に飛んだ場合、その間の空白エリアには「見えないゴミ」が存在します。
不要行の完全削除 データが入っている最終行の次の行番号をクリックし、そのままカーソルが飛んだ行までドラッグして範囲選択します。そして、右クリックで「削除」を選びます(キーボードのDeleteキーではなく、行番号の上で右クリックして「削除」です)。これにより、行そのものを消滅させます。
列方向も同様に 使っていない右側の列(データの入っている最終列より右側)も同様に削除しておくと、より確実です。
この「行削除」を行ってから上書き保存することで、ファイルサイズも劇的に軽くなり、筆まめがスムーズにデータを解釈できるようになります。 非常に地味な作業ですが、原因不明のエラーが出た時に最も効果的かつ、プロが真っ先に疑うポイントの一つです。
住所録の項目ズレが発生する時の見直しポイント
いざ取り込みが完了したと思って中身を見たら、「住所」の欄に「電話番号」が入っていたり、「連名」の欄に「会社名」が入っていたりすることがあります。 これはCSVデータの列の並び順と、筆まめ側の受け皿の並び順が一致していないために起こる現象です。 筆まめには優秀な自動割り当て機能がありますが、完璧ではありません。特に、独自の列名を使っている場合、筆まめは推測で割り当てようとし、結果として間違った場所にデータを入れてしまうのです。
項目ズレを防ぐ割り付け確認
プレビュー画面での目視チェック 取り込みを実行する直前の画面(プレビュー画面)は、単なる確認画面ではありません。ここで左側に「取り込むCSVの項目」、右側に「筆まめの項目」が表示され、矢印で結ばれています。この矢印が正しい項目同士を結んでいるか、必ず一行ずつ目で追って確認します。
手動での修正(マッピング変更) もしズレている場合は、画面上でクリックして項目の割り当てを変更します。「関連付けない」設定になっている重要な項目がないかもチェックしてください。例えば、CSV側の「Memo」という列が、筆まめ側のどの項目にも割り当たっていない場合、その情報は取り込まれずに捨てられてしまいます。
特に注意が必要なのが「備考欄」「敬称」「連名」といった、必須ではないけれどあると便利な項目です。これらが一つずれるだけで、それ以降の全ての項目がドミノ倒しのようにずれてしまうことがあります。 面倒でも、最初の一人分だけでなく、データの途中(10件目あたり)や最後の方もプレビューで確認することをお勧めします。データの途中にカンマなどの記号が含まれていると、そこから後ろが全てずれることもあるからです。
筆まめ側の住所録設定を初期化すると改善することもある?
ここまでファイル側を徹底的に確認しても解決しない場合、稀にですが筆まめ側の設定ファイル自体が不整合を起こしている(おかしくなっている)可能性があります。 特に、過去に何度も異なる形式のファイルを取り込んだ履歴がある場合、前の設定情報(キャッシュのようなもの)が邪魔をして、新しい設定が正しく反映されないことがあります。 このような場合は、筆まめを一度完全に終了し、PCを再起動してから再度試してみてください。PCの再起動は、メモリ上のゴミを一掃する最も基本的なトラブルシューティングです。
それでもダメな場合の対処
新規住所録として作成 既存の住所録に追加するのではなく、あえて「新しい住所録」として取り込んでみます。これで成功するなら、既存の住所録ファイル(.fwaファイル)側に何らかの破損やロックがかかっている可能性があります。
設定のリセット(上級者向け) 筆まめには設定を初期状態に戻すツールが含まれているバージョンもありますが、まずは「新規作成」でうまくいくかを確認するのがリスクの少ない切り分け方法です。
ソフトの再インストールは最終手段ですので、まずは「新しい箱(新規住所録)」にデータが入るかどうかを試すことで、原因がデータにあるのかソフトにあるのかを判別できます。
筆まめ住所録CSV取り込みを成功させる具体的な手順とコツ

原因と対策が見えてきたところで、ここからは「成功率を格段に上げる」ための実践的なワークフローをご紹介します。 行き当たりばったりで取り込みを試してエラーに一喜一憂するのではなく、事前にデータを「筆まめ好みの形」に整えてあげることで、作業時間は劇的に短縮されます。 また、この手順を踏むことで、万が一のデータ破損のリスクも最小限に抑えることができます。プロが普段行っている、確実で無駄のない手順をぜひ真似してみてください。
【この記事でわかること】
- 筆まめ専用形式のCSVテンプレート作成方法
- 宛名印刷に不可欠な必須項目の配置ルール
- エラー回避のためのファイル名・保存場所の鉄則
- プロ推奨の重複データ削除と安全な管理術
正しいCSVテンプレートに整えて取り込み成功率を上げる方法
最も確実で、私がクライアントに推奨している方法は、他ソフトから書き出したCSVをそのまま無理やり取り込もうとするのではなく、一度「筆まめの形式」に合わせた空の箱(テンプレート)を用意し、そこにデータを流し込むことです。 「急がば回れ」のように思えますが、項目ズレやエラーとの格闘時間を考えれば、この方法が圧倒的に早く、かつ正確です。
テンプレート作成の手順(逆転の発想)
筆まめで空の住所録を作成 まず筆まめを起動し、「新規作成」を選びます。そして、あえて1件だけ適当なダミーデータ(例:氏名「テスト太郎」、住所「東京都…」)を入力して保存します。
CSVとして書き出し(エクスポート) その1件だけのデータを、「ファイル」メニューの「他形式ファイルへの書き出し」機能を使ってCSV形式で保存します。
Excelで合体させる 書き出したCSVをExcelで開くと、そこには筆まめが理想とする完璧な列名(ヘッダー)と並び順が用意されています。このファイルの2行目以降に、元々持っている取り込みたいデータをコピペして貼り付けます。
この方法で作ったCSVファイルは、筆まめにとって「自分自身が作ったファイル」と同じ構造をしているため、取り込み時のエラー発生率はほぼゼロになります。 列の割り付け設定(マッピング)などを考える必要もなく、「自動」ですべて正しい場所に収まります。まさに最強の時短テクニックと言えるでしょう。
「姓・名・郵便番号」など必須項目の配置ルールを理解する
住所録データには「あったほうがいい項目(備考、誕生日など)」と「ないと宛名印刷が成立しない必須項目」があります。 エラーを出さずに取り込む、そして印刷までスムーズに進めるためには、この必須項目の扱いを正しく理解しておくことが重要です。 特に「氏名」と「住所」の扱いはソフトによってクセが異なります。
データ整備のポイント
氏名の分割 筆まめは「姓」と「名」を別の枠(フィールド)で管理するのが基本です。Excelデータで「山田太郎」と一つのセルに入っている場合、筆まめ側でうまく分割できないことがあります。Excelの「データ」タブにある「区切り位置」機能を使い、姓と名の間にスペースがあるなら、事前に姓と名の列に分割しておくと、取り込み後の修正の手間が省けます。
郵便番号のハイフン 筆まめはハイフンあり(123-4567)でもなし(1234567)でも認識しますが、データ内で混在していると辞書機能が誤作動する原因になります。どちらかに統一しておくとトラブルが減ります。Excelの置換機能を使えば一瞬で統一できます。
都道府県の省略 住所データに都道府県が含まれておらず、「新宿区…」から始まっている場合、筆まめの郵便番号辞書機能で補完できることもありますが、CSV上では都道府県から入力されている方が確実です。特に政令指定都市の場合、県名がないと正しくレイアウトされないことがあります。
これらの必須項目が空白になっている行があると、その行だけ取り込みがスキップされたり、エラーログに記録されたりすることがあります。 Excelの「フィルター」機能を使って、必須項目の列に「空白セル」がないか、事前にチェックしておきましょう。
ファイル名の付け方でエラー回避?半角英数字にする理由
意外と盲点なのが、CSVファイルの「ファイル名」と「保存場所(フォルダパス)」です。 最近のWindows 10や11は日本語のファイル名でも問題なく扱えますが、データのインポート処理のような内部的な動作(特に古いプログラムコードが残っている部分)においては、依然として日本語ファイル名や長すぎるパスがエラーの引き金になることがあります。
推奨されるファイル名の例
OK例 address2024.csv nenga_data.csv (Cドライブ直下の作業フォルダや、デスクトップなど、浅い階層に保存)
NG例 2024年用 修正版 住所録(最終)_コピー.csv C:\Users\Name\OneDrive\ドキュメント\年賀状\2024\データ\最終版\住所録.csv(パスが長すぎる)
特に「〜(波線)」や「①(丸数字)」などの機種依存文字を含むファイル名は避けてください。また、OneDriveやDropboxなどのクラウド同期フォルダ内にあるファイルは、同期処理と競合して「ファイルが使用中です」というエラーが出ることがあります。 一時的にでも良いので、ファイル名は半角英数字のみ(例:data.csv)に変更し、デスクトップなどの分かりやすい場所にコピーしてから取り込み作業を行うことを強くお勧めします。 これだけで、「ファイルが見つかりません」「アクセスできません」といった謎のエラーが解消されることが多々あります。
Excelで重複データを削除して取り込みを最適化する手順
複数の住所録ファイルを統合したり、スマホの連絡先とPCのデータを合体させたりした場合、同じ人が複数登録されてしまう「重複」が発生しがちです。 筆まめに取り込んでから、数千件のデータの中から重複を目視で探して削除するのは、気の遠くなるような作業です。Excelの段階で重複を整理しておくのがスマートです。
重複削除のステップ
- 範囲選択 Excelでデータ全体(列名を含む)を選択します。
- 重複の削除機能 「データ」タブにある「重複の削除」ボタンをクリックします。
キー項目の選択 重複を判定する基準を選びます。すべての項目にチェックを入れると完全に一致する行だけが消えますが、通常は「氏名」と「電話番号」あるいは「氏名」と「住所」などを組み合わせます。氏名だけだと、同姓同名の別人を誤って消してしまうリスクがあるため、必ず複数の条件を組み合わせるのがコツです。
この作業を行っておくことで、筆まめ側での件数がスリムになり、動作も軽くなります。 何より、年末の忙しい時期に、同じ人に2枚年賀状を出してしまうという失礼なミスも確実に防げます。
筆まめ住所録に安全に上書き取り込みするための注意点
すでに筆まめで管理している住所録があり、そこに新しいCSVデータを追加したり、住所変更情報を更新したりする場合の操作は、最も慎重に行う必要があります。 誤って操作すると、これまで丁寧に入力してきた「過去の喪中履歴」や「毎年の送受記録(出した・出さないのチェック)」が消えてしまったり、データが二重登録でぐちゃぐちゃになったりする恐れがあります。
安全な取り込みフロー(サンドボックス方式)
バックアップ作成(必須) 作業前に必ず、現在の筆まめ住所録ファイル(拡張子 .fwa など)をコピーして、「住所録_バックアップ.fwa」のように別名で保存しておきます。これが命綱です。
別ファイルとして取り込み 既存のファイルに直接インポートするのではなく、一度「新規作成」でCSVを取り込み、内容を確認します。これを「テスト取り込み」とします。
筆まめ同士で結合 テスト取り込みで問題がないことを確認してから、筆まめの機能である「住所録ファイルの連結」を使って、既存の住所録と新しいデータを合わせます。
CSVから直接既存ファイルへの上書きや追加取り込みは、設定ミスがあった時のダメージが大きいため、慣れていない方は「別で取り込んでから、筆まめ上で合体」という手順を踏むのが最も安全です。一度混ざってしまったインクを元に戻せないのと同じで、混ざってしまったデータを選別するのは至難の業です。
バージョン差異で起こる「取り込み不可」を防ぐ方法
「去年まではできたのに今年はできない」「新しいパソコンに買い替えたらできなくなった」という場合、筆まめのバージョンと、CSVを作ったソフト(Excelなど)のバージョンの組み合わせが変わっていることが原因かもしれません。 OSのアップデートやOfficeの更新により、見えない部分でセキュリティ設定や仕様変更が行われていることがあります。
バージョンの壁を越えるには
シンプル化 最新のExcel独自機能や複雑な書式を使わず、プレーンなテキストデータとしてのCSV(カンマ区切り)を使用することに徹します。
互換モードの活用 Excelで保存する際に、あえて古いExcel形式(.xls)を選んで保存し、それを再度開いてからCSVにするなどの変換を挟むことで、データの構造が単純化され、読み込みやすくなることがあります。
最新版へのアップデート 筆まめ自体が古すぎる場合(例:Windows 10/11に対応していない5年以上前のバージョンなど)、最新のOSの仕様変更に対応できず、ファイルの読み書きに支障が出ることがあります。この場合は、時間をかけて解決しようとするよりも、最新版の筆まめへの買い替え(アップグレード)を検討する方が、結果的に時間とストレスの節約になります。
筆まめ 住所録 CSV 取り込みを成功させるチェックリスト【まとめ】

最後に、ここまでの内容を踏まえ、作業前に確認すべきポイントを詳細なチェックリストとしてまとめました。 エラーが出た際は、焦らずこのリストを上から順に確認してみてください。印刷して手元に置いておくのもおすすめです。
筆まめCSV取り込み 成功への10ヶ条
- CSVのファイル形式は「CSV(カンマ区切り)」になっているか(Mac用やUTF-8になっていないか)
- ファイル名は半角英数字のみで、短くシンプルなものか(長い日本語名は避ける)
- 1行目に正しい「列名(氏名、郵便番号など)」が入っているか(データがいきなり始まっていないか)
- メモ帳で開いて文字コードが「ANSI(Shift-JIS)」になっているか(文字化け対策の要)
- データの中に不要な空白行や、見えないゴミデータが残っていないか(Ctrl+Endで確認)
- 「姓」と「名」は別の列に分かれているか(推奨設定、必須ではないがトラブルが減る)
- 郵便番号や電話番号に特殊な記号が含まれていないか(全角数字や不要なスペースなど)
- 取り込み時のプレビュー画面で、項目の割り付けにズレがないか(矢印の先を目視確認)
- 既存の住所録とは別に、必ずバックアップファイルをとっているか(最重要)
- 筆まめとExcel以外の不要なアプリを終了して作業しているか(メモリ不足や競合の回避)
これらのポイントさえしっかりと押さえておけば、住所録の移行は決して怖いものではありません。 一度きれいなデータを作ってしまえば、来年以降の管理も非常に楽になりますし、万が一ソフトを乗り換える際もスムーズです。 この記事を参考に、皆さんがスムーズに年賀状準備を終え、穏やかな年末を過ごせることを心より応援しています。
コメント