Adobe Illustratorがフリーズする原因7選|重すぎて動かない時の最速対処法

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皆さん、こんにちは。PC業界でライターをしている〇〇です。デザインツールの代名詞とも言えるAdobe Illustratorは、プロの現場でも趣味の制作でも欠かせない存在ですが、「作業中に突然フリーズしてしまった」「重すぎて思うように動かない」といったトラブルに遭遇した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。特に締め切り間近でのフリーズは心臓に悪いですよね。

Illustratorがフリーズする原因は多岐にわたりますが、その多くはパソコンのスペック不足ではなく、データの持ち方や設定、あるいはちょっとした習慣に起因していることが少なくありません。本記事では、Illustratorが動かなくなる主な原因を7つに絞り込み、それぞれの問題に合わせた具体的な解決策と、二度とフリーズさせないための再発防止策を、分かりやすく徹底的に解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたのIllustrator環境は格段に安定し、より快適でクリエイティブな作業に集中できるようになっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。


【この記事で分かること】

  • Illustratorのフリーズや動作が重くなる根本的な原因と共通点
  • メモリ不足や大容量データが動作に与える具体的な影響
  • 予期せぬフリーズを引き起こす自動保存や環境設定の具体的な問題点
  • フリーズしてしまった時に作業データを守るための最速の応急処置




Illustratorがフリーズする主な原因と重くなる時の共通点

デザイン制作においてIllustratorは非常に優秀なツールですが、その多機能さゆえに、パソコンのリソースを大量に消費する側面も持っています。フリーズや動作の重さという現象は、突き詰めれば「パソコンのリソース消費量」と「Illustratorの要求する処理能力」のバランスが崩れた時に発生するものです。

ここでは、そのバランスを崩す具体的な原因を掘り下げていきましょう。原因を特定できれば、無駄な対処法を試すことなく、ピンポイントで問題を解決できるはずです。これらの原因を知ることは、快適な作業環境を構築するための第一歩となります。

Adobe Illustratorが頻繁にフリーズするのはなぜ?

Illustratorが頻繁にフリーズする最大の理由は、メモリ管理とCPUへの負荷が、ユーザーの作業内容に対して適切でないことにあります。Illustratorはベクターベースのソフトウェアであるため、複雑なパスや多数のオブジェクトを扱う際、それらを正確に描写し、編集可能状態に保つために膨大な計算処理を必要とします。

特に、多くのユーザーが気づかないうちに実行している「非破壊編集」の積み重ねが、メモリを圧迫します。例えば、アピアランスパネルでの複雑な効果の適用、大量のブレンドオブジェクト、あるいは多数のクリッピングマスクの使用などは、画面に表示されている以上に内部的なデータ量を増やしているのです。これにより、ちょっとした操作を行うだけでも、Illustratorは全ての変更履歴や効果を再計算しようとし、その処理が追いつかなくなった瞬間にフリーズという形でユーザーの操作をブロックしてしまいます。

根本的なフリーズの原因を探るには、まずは作業中のファイルの「複雑さ」と、パソコンの「処理能力」のバランスを疑うことが重要です。一見シンプルに見えるオブジェクトでも、内部で複雑なメッシュやグラデーションが絡み合っている場合、処理は格段に重くなります。

メモリ不足やCPU負荷が高すぎる時のサイン

メモリ(RAM)不足は、Illustratorの動作が重くなる、あるいは完全にフリーズする最も一般的な原因の一つです。メモリは作業スペースに例えられ、Illustratorが現在開いているドキュメントのデータや、処理中の操作内容を一時的に保持する場所です。このスペースが足りなくなると、Illustratorはハードディスクの一部を仮想メモリとして使い始めますが、これはRAMに比べて非常に処理速度が遅いため、動作が鈍化したり、最悪フリーズにつながったりします。

CPU負荷が高すぎる場合のサインとしては、まずパソコンのファンが異常なほど高速に回転し始め、筐体が熱くなることが挙げられます。これは、CPUが全力を出して複雑な計算を処理しようとしている証拠です。次に、カーソルが砂時計や虹色の回転マークに変わり、描画が遅延したり、新しい操作に対する反応が数秒遅れたりするようになります。

これらのサインは、Illustratorが現在進行形でシステムリソースの限界に挑戦していることを示しており、速やかにファイルサイズやデータ構成を見直す必要があります。特に複数のアプリケーションを同時に起動している場合、それら全てがメモリとCPUを分け合っているため、Illustrator単体での作業よりもフリーズのリスクが高まります。

メモリとCPUの負担が高い場合の状況を、分かりやすく一覧表でまとめました。

状況メモリ(RAM)不足のサインCPU負荷が高すぎるサイン対処の優先度
動作頻繁に描画が一瞬止まる、ファイルの保存に時間がかかるパソコン全体が重くなる、カーソルが長時間回転し続ける
PCの物理的変化特に変化はないが、他のソフトも同時に重くなるファンが高速回転する、筐体が非常に熱くなる
作業データ大容量ファイルを開いている、多数のアートボードを使用中複雑な効果や3D処理、多数のブレンド処理を実行中
確認方法タスクマネージャー(Windows)/アクティビティモニタ(Mac)でメモリ使用率を確認タスクマネージャー/アクティビティモニタでCPU使用率を確認

大容量データやリンク画像が多いと固まる理由

大容量のドキュメントや、埋め込まれたラスター画像(Photoshopなどで作成した写真データなど)が多いファイルは、Illustratorをフリーズさせる直接的な原因となります。ベクターデータ自体はサイズが小さくても、そのファイル内に高解像度のラスター画像が埋め込まれている場合、Illustratorはファイルを開く際、また操作の度に、その全ての画像データをメモリに展開する必要があります。

例えば、印刷用の高解像度(300dpi以上)のA3サイズの画像を何枚も埋め込んでいる場合、それだけで数十GBのメモリを瞬時に消費してしまうことも珍しくありません。また、埋め込み画像だけでなく、「リンク画像」が多い場合も注意が必要です。リンク画像自体はファイルサイズを抑えるのに役立ちますが、Illustratorは表示のためにリンク先から画像データを読み込む処理を常に実行しています。特にネットワークドライブ上のリンク画像や、大量のリンク画像がある場合、読み込み処理がボトルネックとなり、描画やスクロールの際にフリーズを引き起こすことがあります。

さらに、Illustratorの独自機能である「パターンブラシ」や「カスタムブラシ」などで複雑なオブジェクトを繰り返し使用している場合も、一見気づきにくい形でデータ容量が増大し、フリーズの原因となることがあります。これは、単一のオブジェクトをコピーするのではなく、複雑なベクターデータを何百回も複製しているのと同じ状態になるためです。

データの種類とIllustratorへの負荷について比較しました。

データの種類Illustratorファイルサイズへの影響メモリ(RAM)負荷CPU負荷
シンプルなベクター(パスのみ)小~中(パス数による)
複雑なアピアランス・効果中~大中~大
埋め込みラスター画像(高解像度)非常に大
多数のリンク画像小(本体は)中(読み込み処理)中~大(描画処理)
複雑なパターンブラシ・シンボル中~大

自動保存やクラウド同期がフリーズを引き起こすケース

Illustratorには、ユーザーの作業データを予期せぬクラッシュから守るための「自動保存」機能が備わっています。これは非常に便利な機能ですが、設定によってはフリーズの原因となることがあります。自動保存は、設定された一定時間ごと、あるいは特定の操作を行ったタイミングで、バックグラウンドで一時ファイルの保存処理を実行します。

もしあなたが巨大なファイルや、非常に複雑なデータ構成のファイルで作業している場合、この自動保存処理に数秒から数十秒かかってしまうことがあります。その間、Illustratorは事実上、ユーザーの操作を受け付けない状態、つまりフリーズ状態になってしまうのです。この現象は、特に古いハードディスクや低速なSSDを使用している環境で顕著に現れます。

また、Adobe Creative CloudやGoogle Drive、Dropboxなどのクラウドストレージと連携している場合も注意が必要です。Illustratorのファイルは頻繁に更新されるため、これらの同期サービスがファイルの変更を検知するたびに同期処理を走らせます。この同期処理が、IllustratorのI/O(入力/出力)処理と競合したり、ネットワーク帯域を消費したりすることで、結果的に描画や保存操作が遅延し、フリーズやクラッシュにつながるケースが確認されています。

この問題の解決には、自動保存の間隔を長くするか、作業中はクラウド同期を一時停止することが有効な手段となる場合があります。ただし、自動保存を無効にするとクラッシュ時のデータ復元ができなくなるリスクがあるため、バランスを考慮した設定が必要です。

古いプラグインや拡張機能が原因になることも

Illustratorの機能を拡張するために導入されるサードパーティ製のプラグインや拡張機能は、作業効率を大幅に向上させてくれますが、これらがIllustrator本体の動作に悪影響を及ぼし、フリーズや強制終了の原因となることがあります。

特に、Illustratorのメジャーアップデート(例:CC 2023からCC 2024へ)が行われた直後などに、プラグインの開発元がまだ新しいバージョンに対応できていない場合、互換性の問題が発生しやすくなります。古いバージョンのIllustrator用に設計されたプラグインが、最新の内部API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)との間で予期せぬ競合を起こすことで、メモリリーク(メモリを解放せずに使い続ける現象)や致命的なエラーを引き起こし、Illustratorをフリーズさせてしまうのです。

トラブルシューティングの際には、全てのサードパーティ製プラグインや拡張機能を一時的に無効にし、Illustratorが安定して動作するかどうかを確認することが、原因特定のための鉄則となります。もし無効にした状態で安定動作するようであれば、原因はプラグインや拡張機能にあると断定できるため、それぞれの開発元に最新の互換性情報を確認したり、代替の機能を探したりするステップに進むことができます。

信頼性の高いプラグインの選定には、専門的なレビューや公式の情報源を参照することが大切です。

参照元:サードパーティ製プラグインの互換性情報(Adobe公式ヘルプページより抜粋)

Illustratorの環境設定が壊れている時の症状

Illustratorの「環境設定ファイル」は、ツールバーの配置、ショートカットキー、カラー設定、パフォーマンス設定など、ユーザーがカスタマイズしたあらゆる設定を保存している重要なファイル群です。これらの設定ファイルは、長期間にわたる使用や、頻繁なクラッシュ、あるいは不適切なシャットダウンなどによって稀に破損してしまうことがあります。

環境設定が壊れると、Illustratorは以下のような異常な挙動を示すようになります。

異常な動作の例

  • 特定の操作を行うと必ずクラッシュする
  • ツールの設定が保存されない、または勝手にリセットされる
  • ドキュメントを開こうとするとフリーズする
  • 描画や拡大縮小の際に画面表示が乱れる(特にGPU関連の設定部分)

これらの症状が出た場合、環境設定ファイルを初期化することで、問題が一気に解決することが非常に多いです。環境設定の初期化は、Illustratorを工場出荷時の状態に戻す行為に近いため、一時的に慣れた作業環境は失われますが、フリーズやクラッシュといった深刻な問題を解決する最も確実で簡単な方法の一つと言えます。

初期化の方法は、Illustratorの起動時に特定のキー(WindowsならCtrl+Alt+Shift、MacならCommand+Option+Shift)を押し続けることで実行できます。ただし、これによりカスタムブラシやスウォッチなどの一部の設定も初期化されるため、事前にバックアップを取っておくことが推奨されます。

MacとWindowsでフリーズ原因が違うのはなぜ?

Illustratorのフリーズ原因の多くはデータやソフトウェアの内部的なものですが、使用しているOS(MacまたはWindows)に起因する特定のフリーズ原因や動作の傾向が存在します。これは、両OSでIllustratorが利用するグラフィック処理の仕組みや、メモリ管理の方法が異なるためです。

Macの場合、特に最近のモデルではグラフィック処理にMetalと呼ばれるApple独自のフレームワークを使用し、メモリ管理も独自の最適化が行われています。このため、macOSの大型アップデート直後などに、グラフィックドライバやIllustratorのGPUプレビュー機能との間で一時的な不具合が生じ、フリーズすることがあります。また、フォント管理がシステム全体に強く結びついているため、システムフォントやサードパーティ製フォントの競合がフリーズにつながるケースが比較的多く見られます。

一方、Windowsの場合、グラフィック処理は主にNVIDIAやAMDといったGPUメーカーのドライバに依存しています。もしこれらのドライバが最新版でない、あるいはIllustratorとの相性が悪いバージョンである場合、GPUプレビューをオンにした途端にフリーズや描画エラーが発生する確率が高くなります。また、Windowsはバックグラウンドで動作する様々な常駐ソフトが多く、これらのソフトが予期せずCPUやメモリを占有することで、Illustratorに必要なリソースが奪われ、結果的にフリーズすることがあります。

OSごとのフリーズ傾向と注意点を比較表でまとめました。

項目Mac OSWindows OS特に注意すべき点
グラフィック処理MetalフレームワークNVIDIA/AMDドライバOSやドライバのアップデート直後の互換性
メモリ/CPU独自の最適化(メモリ管理)常駐ソフトとの競合バックグラウンドで動くソフトの一時停止
フォント関連システムフォントとの競合が多い比較的にフォントの競合は少ないフォント管理ツールで競合を解消する
フリーズの傾向グラフィック処理の不具合、フォント絡みドライバの不具合、リソース競合定期的なOS・ドライバ・アプリのアップデート

Illustratorが動かない時の最速対処法と再発防止のコツ

Illustratorがフリーズして動かなくなったとき、最も恐れるのは「作業中のデータが消えてしまうこと」ではないでしょうか。冷静な判断と迅速な対処が、この最悪のシナリオを回避する鍵となります。ここでは、フリーズ発生時の応急処置から、二度と同じトラブルに悩まされないための恒久的な設定変更まで、プロの現場でも実践されている具体的な対処法を分かりやすく解説します。

これらのテクニックを身につければ、突発的なトラブルにも慌てず対応できるようになるでしょう。


【以下で分かること】

  • Illustratorがフリーズした際の安全かつ確実な強制終了の手順
  • クラッシュ後も作業内容をほとんど失わずに復元する具体的な方法
  • Illustratorの動作を劇的に改善するためのパフォーマンス設定の最適化
  • 将来的なフリーズを防ぐために日常的に行うべきメンテナンス方法

フリーズした時の応急処置|強制終了と再起動の手順

Illustratorが完全にフリーズしてしまい、カーソルも動かず、何の操作も受け付けなくなった場合の最優先事項は、「これ以上、システムに負荷をかけずに強制終了し、リソースを解放すること」です。通常の「閉じる」ボタンが機能しないため、OSの機能を使って強制的にアプリを終了させる必要があります。

ただし、マウスを連打したり、キーボードを無闇に叩いたりするのは避けてください。これはIllustratorが「まだ生きている」と錯覚し、さらに処理を続けようとして、かえってフリーズ状態を長引かせたり、復元データを破損させたりする原因になりかねません。

強制終了の具体的な手順は以下の通りです。


Macの場合 アクティビティモニタを利用する

  • Command + SpaceキーでSpotlightを起動し、「アクティビティモニタ」と入力して起動します。
  • CPUタブ内で「Adobe Illustrator」を見つけ、選択します。
  • 左上にある「×」ボタン(プロセスを終了)をクリックし、「強制終了」を選択します。

Windowsの場合 タスクマネージャーを利用する

  • Ctrl + Shift + Escキーを同時に押し、タスクマネージャーを起動します。
  • 「プロセス」タブで「Adobe Illustrator」を見つけ、選択します。
  • 右下の「タスクの終了」ボタンをクリックして強制終了します。

強制終了後、すぐにIllustratorを再起動する前に、パソコンを一度再起動することが最も推奨される対処法です。これは、フリーズ時にOSや他のアプリケーションが抱え込んでしまった一時的なメモリのゴミ(キャッシュ)を完全にクリアし、クリーンな状態でIllustratorを立ち上げるためです。このひと手間を加えるだけで、次に開いたIllustratorが再び不安定になるリスクを大幅に減らすことができます。

作業データを失わずに自動保存から復元する方法

Illustratorには、最悪のフリーズやクラッシュから作業データを守るための「自動保存(データ復旧)」機能が標準で搭載されています。これは、指定された間隔で作業内容を一時的な復元ファイルとして保存してくれる仕組みです。Illustratorが強制終了した場合でも、この機能が有効になっていれば、ほとんどの作業内容を失わずに済む可能性が高いです。

復元手順

クラッシュ後、Illustratorを再起動すると、通常は自動的に「復元されました」というダイアログが表示されます。もしこのダイアログが表示されなかった場合でも、諦める必要はありません。

自動保存されたファイルは、特定の場所に保存されています。

  • Illustratorの環境設定の「ファイル管理・クリップボード」セクションで、「データ復旧」の項目を確認すると、復元ファイルの保存場所が示されています。

自動保存ファイルを見つけ、開く

  • 上記で確認したフォルダ内に、「Recovery」や「復元」といった名前のついたファイルが存在するか確認します。
  • このファイルをIllustratorで開きます。ファイル名には元のファイル名に加えて「復元」といった識別子がついています。

復元されたファイルは、あくまで一時的なファイルです。開いた後、必ず「ファイル」メニューから「別名で保存」を選択し、元のファイル名とは異なる安全な場所に新しいファイルとして保存し直してください。この際、元の壊れたファイルに上書きしないよう細心の注意を払う必要があります。これにより、クラッシュ直前の貴重な作業データを確実に救出できます。

データ復旧機能の有効性と設定(Illustrator 2024以降のバージョンを参照)

設定項目推奨設定理由
データ復旧を有効にするチェックを入れる(ON)クラッシュ時のデータ損失を防ぐため必須
復旧データの間隔5分〜15分短すぎると自動保存で作業が途切れる、長すぎるとデータ損失が増えるため
復旧ファイルの場所高速なSSD上のフォルダハードディスクの速度が遅いと自動保存時のフリーズ原因になるため

Illustratorが重い時に効果的な設定変更ポイント

フリーズの再発を防ぐためには、Illustratorのパフォーマンス設定を見直すことが非常に重要です。特にメモリとGPUの使用方法に関する設定は、動作の軽快さに直結します。

パフォーマンス設定の最適化

Illustratorの環境設定(Windows: 編集 > 環境設定、Mac: Illustrator > 設定)から「パフォーマンス」パネルを開いてください。

メモリの使用設定

  • 「メモリの使用状況」
    Illustratorに割り当てるメモリの割合を設定します。通常、システム全体のRAMの70%〜80%程度に設定することが推奨されます。割り当てすぎると他のアプリケーションが不安定になり、少なすぎるとIllustratorが重くなります。システムのRAM容量に応じて適切なバランスを見つけましょう。

履歴とキャッシュ

  • 「取り消し操作のレベル」
    作業中の操作履歴をどれだけ保持するかを設定します。初期設定では多くの履歴を保持しますが、これがメモリを圧迫します。頻繁にフリーズする場合、このレベルを「50」程度に減らすことで、メモリの消費を抑え、動作を軽くすることができます。

ファイル管理設定の見直し

「ファイル管理・クリップボード」設定も見直すべき重要なポイントです。

  • 「データ復旧用ファイルを自動保存」
    前述の通り、有効にしますが、「復旧データの間隔」は、ファイルの複雑さに応じて10分から15分に設定し、頻繁な自動保存による作業中断を避けましょう。
  • 「PDF互換ファイルを作成」
    この設定を「無効」にすることで、ファイルの保存サイズが大幅に削減されます。ただし、他のAdobe製品や互換ソフトでPDFとして直接開くことができなくなるため、用途に応じてオンオフを切り替えてください。通常、Illustratorファイルとしてのみ使用する場合はオフが推奨されます。

Illustratorのパフォーマンスを最適化するための設定変更ポイント

設定箇所変更内容効果
パフォーマンス > メモリの使用状況70%〜80%の範囲で調整Illustratorの動作に必要なRAMを確保し、他のアプリとのバランスを取る
パフォーマンス > 取り消し操作のレベル50〜100に減らす履歴のメモリ消費を減らし、動作を軽くする
ファイル管理 > PDF互換ファイルを作成無効(チェックを外す)ファイル保存サイズを劇的に縮小し、保存時間を短縮する
ファイル管理 > 復旧データの間隔10分〜15分に設定頻繁な自動保存によるフリーズ(作業中断)を回避する

不要なプラグイン・フォントを削除して軽くするコツ

Illustratorのフリーズ原因が特定できない場合、内部的なリソースの競合を疑う必要があります。その代表的なものが、前述したプラグインとフォントです。これらはIllustratorの起動時やドキュメントを開く際に読み込まれるため、不要なものが多すぎると起動時間や動作速度に悪影響を及ぼします。

プラグインの整理

  • 使用頻度の低いプラグインの特定
    過去半年以上使っていないサードパーティ製プラグインをリストアップしてください。
  • プラグインの一時的な削除
    Illustratorのインストールフォルダ内にある「Plug-ins」フォルダから、該当するプラグインを一時的に別の場所に移動させます。これによりIllustratorから読み込まれなくなります。
  • 安定性の確認
    プラグインを外した状態で数日間作業してみて、フリーズが解消されるか確認します。フリーズが止まれば、原因はそれらのプラグインにあった可能性が高いです。

フォントの管理

パソコンにインストールされているフォントが多すぎる場合、Illustratorはファイルを開くたびにその膨大なリストをチェックしようとし、フリーズの原因となることがあります。

  • フォント管理ツールの利用
    OS標準のフォント管理機能や、Adobe Fonts(Creative Cloudに付属)などの管理ツールを積極的に利用し、必要なフォントのみをアクティブ(有効)にし、不要なフォントは非アクティブ(無効)にしてください。
  • 競合フォントの削除
    特に旧バージョンのIllustratorで作成したファイルを開いた際にフリーズする場合、同じフォント名で異なるファイル形式(OpenTypeとTrueTypeなど)のフォントがインストールされている「競合フォント」が原因となっている可能性があります。この競合を解消するために、片方のフォントを完全に削除するか、管理ツールで無効にしてください。

参照元:フォントとプラグインの競合に関する技術情報(PCシステム管理者のための情報サイトより抜粋)

GPUプレビューを切り替えて動作を安定させる方法

Illustratorには、CPUによる描画(CPUプレビュー)と、グラフィックボード(GPU)による描画(GPUプレビュー)を切り替える機能があります。このGPUプレビューは通常、非常に高速な動作を実現するために推奨されますが、前述の通り、グラフィックドライバやIllustratorのバージョン、OSとの相性が悪い場合、かえってフリーズや描画エラーの原因となることがあります。

GPUプレビューが原因でフリーズが発生しているかを確認し、動作を安定させるための手順はシンプルです。


GPUプレビューの切り替え手順

  • 現在の状態の確認
    Illustratorの「表示」メニュー、または画面右下のステータスバーを確認し、現在が「GPUプレビュー」になっているか「CPUプレビュー」になっているかを確認します。
  • 切り替え操作
    「表示」メニューから「CPUでプレビュー」または「GPUでプレビュー」を選択するか、ショートカットキー(Windows: Ctrl + E、Mac: Command + E)を押して、プレビューモードを切り替えます。
  • 安定性の評価
    GPUプレビューで不安定になる場合は、しばらく「CPUプレビュー」に固定して作業を続けてみてください。CPUプレビューはGPUプレビューに比べて描画は遅くなりますが、システムの安定性は格段に向上することが多いです。特に古いバージョンのIllustratorや、古いグラフィックボードを搭載したPCで有効な手段です。

GPUプレビューをオフにしても動作が重い場合、それは純粋なCPUとメモリの問題であると特定できます。逆に、CPUプレビューでは安定するのにGPUプレビューでフリーズする場合は、グラフィックドライバの更新やダウングレード、あるいはGPUプレビュー自体の設定を見直すことで解決の糸口が見つかるでしょう。

最新バージョンにアップデートして不具合を防ぐ

Illustratorのフリーズや動作の重さに関する多くの問題は、ソフトウェア自体のバグや互換性の問題が原因であることも少なくありません。Adobeは、ユーザーからの報告や内部テストに基づいて、これらの不具合を修正するためのアップデートを定期的に提供しています。


バグ修正の恩恵を受ける

  • パフォーマンスの改善
    新しいバージョンでは、メモリ管理の効率化や、複雑な処理の高速化など、パフォーマンスに関する根本的な改善が施されていることがよくあります。
  • OS/ドライバとの互換性
    OSやグラフィックドライバの最新版への対応は、新しいバージョンで常に行われています。古いバージョンを使い続けることは、新しいOS環境下での予期せぬフリーズのリスクを高めることになります。
  • セキュリティの強化
    フリーズとは直接関係ありませんが、最新バージョンにアップデートすることで、セキュリティ上の脆弱性も同時に解消され、より安全に作業を行うことができます。

アップデートの際の注意点

ただし、アップデートを行う前に、現在使用しているプラグインや拡張機能が最新バージョンに対応しているかを必ず確認してください。前述の通り、非対応のプラグインが原因で、アップデート後に新たなフリーズが発生するリスクもあります。アップデートは「Creative Cloudデスクトップアプリケーション」を通じて行うのが最も確実な方法です。

古いバージョンを残すオプションも選択できるため、万が一の際のロールバックに備えておくことも可能です。アップデートを面倒だと感じずに、定期的なメンテナンスの一環として捉えることが、快適なIllustrator環境を維持するための秘訣です。

Illustratorがフリーズする原因と対処法のまとめ【まとめ】

Illustratorがフリーズして動かなくなる原因は多岐にわたりますが、その多くはシステムリソースの不足か、データまたは環境設定の競合にあります。本記事で解説した原因と対処法を実践することで、あなたのIllustrator環境は劇的に改善するはずです。

最後に、フリーズの主な原因と、それに対応する最速の対処法を10のポイントにまとめました。

フリーズ原因と対処法の10のポイント

  • メモリ不足の解消
    タスクマネージャーやアクティビティモニタでメモリ使用率を確認し、70%〜80%の範囲でIllustratorへの割り当てを最適化してください。
  • CPU負荷の軽減
    複雑な効果やブレンドオブジェクトを多用している場合は、可能な限りラスタライズ(画像化)してCPUへの計算負荷を軽減しましょう。
  • 大容量画像の管理
    高解像度のラスター画像は「埋め込み」ではなく「リンク」で配置し、ファイルサイズを小さく保つことがフリーズ予防に繋がります。
  • 自動保存間隔の調整
    巨大なファイルで作業している場合は、自動保存の間隔を10分から15分に設定し、保存時のフリーズを防いでください。
  • PDF互換ファイルの無効化
    ファイル保存時の「PDF互換ファイルを作成」のチェックを外し、保存サイズと時間を短縮して安定性を高めます。
  • プラグイン・フォントの整理
    使用頻度の低いサードパーティ製プラグインや、システム内の競合フォントを無効化または削除して、リソースの競合を解消します。
  • 環境設定の初期化
    原因不明のフリーズや異常動作が続く場合は、起動時のショートカットキーで環境設定を初期化し、クリーンな状態に戻しましょう。
  • GPUプレビューの切り替え
    GPUプレビューで不安定になる場合は、一時的にCPUプレビューに切り替えて、グラフィックドライバとの相性を確認してください。
  • 最新バージョンへのアップデート
    Illustrator本体を常に最新版に保ち、Adobeによって修正されたバグや互換性の問題を解消してください。
  • 強制終了後の再起動
    フリーズして強制終了した後は、Illustratorだけでなくパソコン全体を再起動し、メモリを完全に解放してから作業を再開してください。

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