OBS Studioで画面キャプチャできない!原因と今すぐ直す5つの方法【初心者向け】

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OBS Studio(Open Broadcaster Software Studio)は、ライブ配信やゲーム実況、画面録画に欠かせない無料の強力なツールですが、「画面が真っ黒になって何も映らない」「特定アプリだけキャプチャできない」といったトラブルに直面することも少なくありません。特に初めて利用する方や、Windows 10からWindows 11へ移行したユーザーから、これらの画面キャプチャに関する不具合の報告が多く寄せられています。

この問題の多くは、OBS Studio自体の設定ミスではなく、OS側のグラフィック設定やセキュリティ設定、そして使用しているパソコンのGPU(グラフィックボード)の設定が深く関わっています。

この記事では、OBS Studioで画面キャプチャができない、映らないといったトラブルの根本的な原因を、パソコンの専門家として徹底的に解説します。さらに、その原因に基づいた今すぐ試せる具体的な解決策を、初心者の方でも迷うことなく実行できるよう、手順を追って丁寧に紹介していきます。トラブルを解消し、快適なOBS Studioでの配信・録画環境を手に入れましょう。


【この記事で分かること】

  • 画面が真っ黒になる、キャプチャできないといったトラブルの根本的な原因が理解できます。
  • ノートパソコンやWindows 11におけるGPU設定やセキュリティ設定の影響が分かります。
  • 管理者権限やOS側の制限を解除し、キャプチャを可能にする具体的な方法が分かります。
  • 画面キャプチャのトラブルを今すぐ直すための実践的な5つの具体的な手順が分かります。




OBS Studioで画面キャプチャできない原因を徹底解説

OBS Studioで画面キャプチャに失敗する、特にソースとして追加しても画面が真っ黒のままになる、といった現象は多くのユーザーが経験する一般的なトラブルです。この問題は一見するとOBS Studioのバグのように感じられますが、実際にはOS(Windowsなど)の設定やグラフィック処理の仕組み、そしてセキュリティ機能が複雑に絡み合って発生しているケースがほとんどです。原因を正しく理解することが、最短で問題を解決するための第一歩となります。

まず、画面キャプチャが正常に動作しない主な理由として、以下のポイントが挙げられます。

  • OS(Windows)のグラフィック設定で、OBS Studioとキャプチャ対象のアプリが異なるGPUで動作している
  • OBS Studioに、キャプチャ対象の画面を読み取るための管理者権限やアクセス許可が付与されていない
  • Windows 11などに搭載された新しいセキュリティ機能が、画面の取得をブロックしている
  • 画面をキャプチャするモードの選択(ゲームキャプチャ、ウィンドウキャプチャ、ディスプレイキャプチャ)が正しくない

これらの原因を深掘りし、それぞれのケースについて分かりやすく説明していきます。

画面キャプチャが真っ黒になる典型的な原因とは?

OBS Studioで最もよく遭遇するトラブルの一つが、ソースとして「ディスプレイキャプチャ」や「ウィンドウキャプチャ」を追加しても、プレビュー画面が真っ黒になってしまう現象です。この「真っ黒」問題のほとんどは、OBS Studioがキャプチャしたい画面の描画情報をOSやGPUから正しく受け取れていない状態を示しています。

この情報の受け渡しが阻害される原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「描画情報の競合(GPU設定)」と「アクセス権の不足(セキュリティ・権限)」の二つに分類できます。

特にグラフィック設定の競合は非常に複雑で、複数のグラフィックボード(GPU)が搭載されている環境で頻繁に発生します。例えば、高性能な外部GPUでゲームを実行しているにも関わらず、OBS Studioが省電力な内蔵GPU(統合GPU)で動作している場合、OBS Studioは外部GPUが描画している画面の情報を取得できないため、結果として画面が真っ黒になるのです。

また、キャプチャしたいアプリケーション自体が、不正なアクセスを防ぐためのセキュリティ機能(UACやアンチチートシステムなど)によって保護されている場合も、OBS Studioは描画情報へのアクセスを拒否され、画面に何も映らない状態になります。

真っ黒問題の原因を特定するために、まずはご自身の環境が下記のどのパターンに該当するか確認してみましょう。

原因の分類発生しやすい状況必要な対処の方向性
GPUのミスマッチノートPC、デュアルディスプレイ環境、外部GPU使用時OBSとキャプチャ対象のGPUを統一する
権限の不足ゲームや特定の高セキュリティアプリをキャプチャしたい時OBS Studioを管理者として実行する
セキュリティブロックWindows 11の最新OS機能が有効な時、特定のブラウザ使用時OS設定やアプリのハードウェアアクセラレーション設定を変更する

参照元:OBS Studio 日本語公式サポート

GPU設定の違いでキャプチャが動作しないケース

OBS Studioの画面キャプチャが機能しない原因として、GPU(グラフィックス処理ユニット)の設定が挙げられます。多くのデスクトップPCや高性能ノートPCには、CPUに内蔵された「統合GPU(Intel HD Graphicsなど)」と、高性能な「ディスクリートGPU(dGPU/NVIDIA GeForceやAMD Radeonなど)」の二種類が搭載されています。この二つのGPUが混在する環境では、どちらのGPUを使って画面を描画し、どちらのGPUでOBS Studioを動作させるかという設定が非常に重要になります。

Windows OSは、省電力のために負荷の低いアプリは統合GPUで、ゲームなどの高負荷なアプリはディスクリートGPUで実行するように自動で振り分けます。この自動振り分けが原因で、例えば、高性能なディスクリートGPU(NVIDIAなど)で描画されているゲーム画面を、内蔵の統合GPUで動作しているOBS Studioがキャプチャしようとすると、OBS Studioがその描画データにアクセスできず、画面が真っ黒になるトラブルが発生します。

これは、異なるGPU間で描画情報の橋渡しがスムーズに行われないために起こる現象で、OBS Studio側から見れば「映すべき画面が存在しない」状態に見えてしまうのです。この問題を解決するためには、OBS Studioとキャプチャ対象のアプリの両方を、同じGPU、特に高性能なディスクリートGPUで動作させるか、逆にすべてを統合GPUで動作させるようにWindowsのグラフィック設定で明示的に指定する必要があります。特にキャプチャの安定性を優先する場合、OBS Studioを「省電力」(統合GPU優先)に設定することで、キャプチャが安定するケースも多く報告されています。

GPUの種類役割と特徴キャプチャトラブルの関連性
統合GPU (iGPU)CPUに内蔵。低消費電力で一般的な処理を担当。OBSがiGPU、アプリがdGPUの場合、キャプチャ失敗の原因になる。
ディスクリートGPU (dGPU)高性能グラフィックボード。ゲームや動画編集などの高負荷処理を担当。OBSとdGPUで動作しているアプリが同じGPUを使っているか確認が必要。

管理者権限がないことで映らないトラブル

OBS Studioでゲームや特定のビジネスアプリケーションの画面をキャプチャしようとした際に、画面が真っ黒になったり、キャプチャ対象として認識されなかったりするトラブルの原因の一つに、「管理者権限のミスマッチ」があります。Windowsのセキュリティ機構であるUAC(ユーザーアカウント制御)は、システムファイルやセキュリティ性の高いアプリケーションを保護するために、通常のユーザー権限とは異なる、高い権限レベルを設定しています。

もし、キャプチャしたいゲームやアプリケーションが、ユーザー自身が意識せずとも「管理者として実行」されている場合、そのアプリケーションは標準ユーザー権限で実行されているOBS Studioよりも高い権限レベルで動作していることになります。Windowsの仕様として、低権限のプロセス(OBS Studio)は、高権限のプロセス(キャプチャ対象アプリ)が描画している画面の情報にアクセスすることをセキュリティ上の理由で禁じています。

これにより、OBS Studioが画面情報を読み取れず、画面が真っ黒になってしまうのです。この問題を解決する最もシンプルで確実な方法は、OBS Studio自体もキャプチャ対象のアプリと同じ、またはそれ以上の「管理者権限」で実行することです。管理者権限でOBS Studioを起動すれば、高権限で動作するアプリの画面情報にもアクセスできるようになり、キャプチャのブロックが解除される可能性が高まります。配信や録画の際は、OBS Studioを右クリックして「管理者として実行」を選択することをルーティンにすることをおすすめします。

Windows 11特有のセキュリティ設定による制限

Windows 11は、セキュリティとパフォーマンスの向上を目的として、OSの根本的な部分に新しいセキュリティ機能を導入しています。この新しいセキュリティ機能が、意図せずOBS Studioの画面キャプチャ機能を妨害している事例が報告されています。特に注意が必要なのが、「仮想化ベースのセキュリティ(VBS)」や「メモリ整合性(HVCI)」といった機能です。これらはマルウェアなどの高度な脅威からシステムを保護するために、OSのコア部分を仮想化環境で動作させることで隔離・強化する仕組みです。

これらのセキュリティ機能が有効になっている環境では、画面描画のプロセスが通常とは異なる仮想化レイヤーを経由するため、OBS Studioが従来のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使って画面情報を取得しようとしても、OS側でアクセスをブロックしてしまうことがあります。特に古いバージョンのOBS Studioや、特定のキャプチャ方式(例:GDI)を使用している場合に、この問題が発生しやすい傾向にあります。

また、Windows 11では画面キャプチャのプライバシー設定も強化されており、アプリごとに画面録画の許可を明示的に行う必要がある場合もあります。これらの機能はセキュリティを保つ上で重要ですが、OBS Studioでのキャプチャが必須であれば、一時的または永続的にこれらのセキュリティ機能を無効化することを検討する必要がありますが、無効化はセキュリティリスクを伴うため、実行する際は十分な理解と注意が必要です。

参照元:Microsoft Tech Community – Windows 11セキュリティ情報

ノートPCのデュアルGPU環境で映らない理由

ノートPCに搭載されているデュアルGPU環境は、OBS Studioのキャプチャトラブルの典型的な原因となります。多くの高性能ノートPCには、電力効率の良い「統合GPU」(インテル製など)と、高いグラフィック性能を持つ「ディスクリートGPU」(NVIDIA GeForce、AMD Radeonなど)の二つが搭載されており、NVIDIA OptimusやAMD Switchable Graphicsといった技術によって、負荷に応じてGPUが自動で切り替わります。この自動切り替えの仕組みこそが、キャプチャ失敗の温床となるのです。

具体的には、画面出力の役割を担うのが統合GPU(iGPU)であるのに対し、高性能なゲームはディスクリートGPU(dGPU)で描画されるという状況が生まれます。dGPUで描画されたゲームの画像データは、最終的にiGPUを経由してディスプレイに送られます。ここで、OBS StudioがiGPU側で動作している場合、iGPUを経由して送られてくる「画面全体」の情報は取得できます(ディスプレイキャプチャ)。

しかし、OBS StudioをdGPU側で実行していないと、dGPUが直接描画している「ゲームのウィンドウ情報」を単独で取得することが難しくなります(ウィンドウキャプチャやゲームキャプチャの失敗)。多くのユーザーはOBS Studioを標準設定のまま、つまりiGPU側で動かしがちですが、高性能なゲーム(dGPUで実行中)をキャプチャしたい場合は、OBS StudioもWindowsのグラフィック設定で明示的にdGPU(ハイパフォーマンス)で動作するように設定し、描画パイプラインを統一する必要があります。

動作するGPUキャプチャ対象予測されるキャプチャ結果
OBS: iGPU / アプリ: iGPUWebブラウザ、Officeアプリなど成功しやすい(GPUが統一されているため)
OBS: iGPU / アプリ: dGPU高負荷ゲーム、一部の動画編集ソフト失敗しやすい(真っ黒)。アクセス権のミスマッチ。
OBS: dGPU / アプリ: dGPU高負荷ゲーム、一部の動画編集ソフト成功しやすい(GPUが統一されているため)

特定アプリだけ画面キャプチャできない原因

OBS Studioの「ウィンドウキャプチャ」や「ゲームキャプチャ」を使用する際、特定のアプリケーションだけがキャプチャできず、画面が真っ黒になったり、キャプチャ候補に表示されなかったりすることがあります。これは、そのアプリケーション自体が持つ特定の描画方法やセキュリティ機構が原因となっていることがほとんどです。特に以下の二つの原因が代表的です。

一つ目は、Webブラウザ(Chrome、Edgeなど)や一部のアプリケーションで標準で有効になっているハードウェアアクセラレーション機能です。この機能は、ブラウザの描画処理をCPUからGPUに肩代わりさせることで、動画再生や複雑なWebサイトの表示を高速化する目的で使われます。しかし、このGPUによる特殊な描画方法が、OBS Studioの標準的なキャプチャAPIに対応していない場合があり、結果としてウィンドウキャプチャに失敗し、真っ黒な画面が表示されてしまいます。この場合、ブラウザの設定画面からハードウェアアクセラレーションを無効にすることで、従来の描画方法に戻り、OBS Studioでのキャプチャが可能になることが多くあります。

二つ目は、著作権保護技術であるDRM(Digital Rights Management)が適用されたコンテンツです。NetflixやAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスを再生する際、ブラウザはDRMによって保護された動画コンテンツのキャプチャや録画を防ぐための特別な処理を行います。この保護機能は、OSやGPUレベルで画面の複製やキャプチャを禁止する仕組み(HDCPなど)と連携しており、OBS Studioによるキャプチャを意図的にブロックします。この制限は法的なものであり、設定変更で回避することは基本的にできません。

OBS Studioのバージョンやドライバの不具合も要注意

画面キャプチャのトラブルは、OS設定やGPU設定といった外部要因だけでなく、OBS Studioのソフトウェア自体や、PCにインストールされているグラフィックドライバのバージョンが古かったり、互換性がなかったりすることによっても引き起こされます。ソフトウェアやドライバの不具合は、突如としてキャプチャが映らなくなる、あるいは特定の機能だけが使えなくなるという形で現れるため、他の設定をすべてチェックした後に見落とされがちな原因です。

古いバージョンのOBS Studioを使用している場合、最新のWindows OSや新しいグラフィックドライバとの間で、描画APIの互換性問題が発生することがあります。例えば、Windows 11の最新のセキュリティ機能に対応していない古いOBSバージョンは、キャプチャがブロックされる可能性が高まります。また、NVIDIAやAMDといったGPUベンダーは、最新のゲームやOSのアップデートに合わせて頻繁にグラフィックドライバを更新しています。

これらのドライバアップデートには、描画処理のバグ修正や最適化が含まれていますが、特定のバージョンがOBS Studioとの間で予期せぬ不具合を引き起こす「バグ」を含んでいることも稀にあります。特にゲームがリリースされた直後のドライバは、安定性よりも最新ゲームへの対応が優先されることがあるため、注意が必要です。キャプチャトラブルが発生した際は、まずOBS Studioが最新バージョンであるか、そして使用しているGPUのドライバが最新版(または安定版)であるかを確認することが、問題解決の確実な第一歩となります。

ソフトウェア/ドライバ確認すべきポイント安定版を探す重要性
OBS Studio公式サイトで最新バージョンを確認し、アップデートする。新しいOSやドライバの変更点に対応し、バグが修正されている可能性が高い。
GPUドライバNVIDIA GeForce Experience、AMD Radeon Softwareで更新を確認。最新版にバグがある場合は、一つ前の安定版に戻す「ロールバック」も有効。

参照元:NVIDIA ドライバー公式サポート

OBS Studioで画面キャプチャを直す5つの実践的な方法

ここからは、前述した原因論に基づき、画面キャプチャができない、真っ黒になる、といったトラブルを直すための具体的な解決策を5つのステップに分けて紹介します。これらの方法は、ほとんどのキャプチャトラブルに対して有効であり、初心者の方でも簡単に実行できるように手順を追って解説していきます。これらの実践的な手順を一つずつ試すことで、トラブルの原因を特定し、確実に配信・録画環境を復旧させることが可能です。

多くのキャプチャトラブルは、OBS Studioを管理者として実行する、あるいはWindowsのグラフィック設定を変更する、といった比較的簡単な操作で解決できることが多いため、まずはこのセクションで紹介する手順から順に試してみることを強く推奨します。これらの方法を試すことで、再インストールといった時間と手間のかかる最終手段を回避できる可能性が高まります。


【以下で分かること】

  • OBS Studioの権限レベルを変更してキャプチャブロックを解除する具体的な手順が分かります。
  • ノートPCやデュアルGPU環境でGPU設定を最適化する Windows側の設定方法が分かります。
  • キャプチャ対象に応じて「ゲーム」「ウィンドウ」「ディスプレイ」モードを正しく使い分ける判断基準が理解できます。
  • Windowsの互換モードやセキュリティ設定を一時的に変更し、キャプチャを試すためのチェックリストが得られます。

管理者としてOBS Studioを実行する手順

OBS Studioで画面キャプチャが真っ黒になる問題の最も一般的な原因の一つは、キャプチャ対象のアプリケーション(特に高負荷なゲームなど)がOBS Studioよりも高い権限で実行されていることです。前述したように、Windowsのセキュリティ機構は、低権限のプログラムが高権限のプログラムの画面情報にアクセスすることをブロックします。このブロックを確実に解除する最も簡単な方法が、OBS Studio自体を「管理者として実行」することです。

管理者として実行することで、OBS Studioはシステム内で高い権限レベルを持つようになり、管理者権限で動作しているゲームやアプリケーションの描画情報にも問題なくアクセスできるようになります。この手順は非常に簡単で、毎回OBS Studioを起動する際に意識するだけで、多くのトラブルを解決に導くことができます。特にアンチチートシステムが組み込まれたゲームをキャプチャしたい場合や、OBS Studio以外の配信ソフトでも同じ現象が起こる場合は、この権限不足が原因である可能性が極めて高いため、最優先で試すべき対処法と言えます。管理者実行を習慣化することで、将来的なキャプチャトラブルの予防にもつながります。

管理者実行で解決するトラブルの種類

  • 管理者権限で起動しているPCゲームが映らない
  • 一部のビジネスソフトやツールが高セキュリティ設定で起動している
  • Windowsのシステム画面やUAC画面が表示されている
実行方法手順効果
一時的な実行OBS Studioのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を選択する。そのセッションでのみ管理者権限で実行される。
恒久的な実行OBS Studioのショートカットを右クリック -> 「プロパティ」-> 「互換性」タブ -> 「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れる。以降、常に管理者権限で起動する。

参照元:OBS Studio コミュニティサポートガイドライン

グラフィック設定で「統合GPU」を優先にする方法

ノートPCやデスクトップPCでデュアルGPU環境を使用している場合、OBS Studioとキャプチャ対象のアプリケーションが異なるGPUで動作していることがキャプチャ失敗の大きな原因となります。これを解決するためには、Windows 10/11の「グラフィック設定」画面を使って、OBS StudioがどのGPUを使用するかを強制的に指定する必要があります。特にOBS Studio側を「省電力」(統合GPU優先)に設定することで、キャプチャが安定するケースが多いです。

キャプチャ対象のゲームがディスクリートGPU(dGPU)で動作している場合、OBS Studioを「省電力」(iGPU)で動作させると、キャプチャ対象のdGPUの処理結果がiGPUを経由して表示されるため、iGPU上で動作するOBS Studioがその描画データにアクセスしやすくなります。逆に、OBS Studioを「ハイパフォーマンス」(dGPU優先)に設定してしまうと、OBS Studioは高性能GPUのリソースを使うことになりますが、画面出力自体はiGPUが行っている場合、キャプチャ情報にアクセスできなくなることがあります。

そのため、キャプチャの安定性を最優先する場合は、OBS StudioのGPUを統合GPU側に寄せて設定することが推奨されます。ただし、ゲーム自体は必ずハイパフォーマンス(dGPU)に設定し、描画負荷を分散させることも忘れないようにしましょう。この設定変更は、特にノートPCユーザーにとって必須のトラブルシューティング手順と言えます。

OBS StudioのGPU設定変更手順

  1. Windowsの「設定」アプリを開き、「システム」-> 「ディスプレイ」-> 「グラフィック」へ進みます。
  2. 「デスクトップ アプリ」の下にある「参照」ボタンをクリックし、OBS Studioの実行ファイル(obs64.exeなど)を選択して追加します。
  3. 追加したOBS Studioのアイコンをクリックし、「オプション」を選択します。
  4. 「グラフィックスの基本設定」ウィンドウで、通常は「省電力」(統合GPU)を選択し、「保存」をクリックします。
  5. 念のため、キャプチャしたいゲームやアプリケーションも参照から追加し、こちらは「ハイパフォーマンス」(ディスクリートGPU)を選択します。
  6. 設定を反映させるために、OBS Studioと対象アプリを再起動します。

ゲームキャプチャ・ウィンドウキャプチャを切り替えるポイント

OBS Studioには、画面をキャプチャするための主要なソースとして「ディスプレイキャプチャ」「ウィンドウキャプチャ」「ゲームキャプチャ」の三種類が用意されています。キャプチャ対象や環境に応じて、この三つのモードを正しく使い分けることが、トラブルを回避する重要なポイントです。一つのモードでキャプチャが失敗した場合、原因を深く追究する前に、まずは他のモードに切り替えて試してみることをおすすめします。

「ゲームキャプチャ」は、DirectXやOpenGLといったゲームが使用する描画APIに直接アクセスし、ゲーム画面の情報を取得する最も効率的で負荷の少ない方法です。しかし、この方式はゲーム側の設定やOSのセキュリティ設定によってブロックされやすく、画面が真っ黒になるトラブルが最も多いモードでもあります。ゲームキャプチャが失敗した場合は、次に「ウィンドウキャプチャ」を試しましょう。ウィンドウキャプチャは、特定のアプリケーションウィンドウに焦点を当てて画面をキャプチャしますが、ハードウェアアクセラレーションの影響を受けやすいという欠点があります。

もしこの二つで解決しない場合、最終手段として「ディスプレイキャプチャ」を使用します。ディスプレイキャプチャは画面全体をOSから取得するため、通常は最も確実性が高い方法ですが、マウスカーソルなどが映り込む可能性があり、複数のウィンドウを隠す作業が必要になるため、情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。キャプチャの安定性とパフォーマンスを両立させるため、まずは「ゲームキャプチャ」を試み、失敗したら「ウィンドウキャプチャ」、それでもダメなら「ディスプレイキャプチャ」という順序で切り替えるのが鉄則です。

キャプチャモードの使い分け一覧

キャプチャモード特徴適した対象キャプチャ失敗時の代替案
ゲームキャプチャ最も高効率。描画APIに直接アクセス。フルスクリーンまたはウィンドウモードのPCゲームウィンドウキャプチャまたはディスプレイキャプチャ
ウィンドウキャプチャ特定のアプリウィンドウのみをキャプチャ。Webブラウザ、Officeソフト、非ゲームアプリハードウェアアクセラレーションを無効化する
ディスプレイキャプチャ画面全体をキャプチャ。最も確実性が高い。全ての画面、キャプチャ対象不明なアプリ、上記で失敗した場合キャプチャ方法(DXGIなど)を切り替える

互換モードやセキュリティ設定を見直すチェックリスト

OBS Studioのキャプチャトラブルは、OSやアプリケーションのバージョンが古かったり、新しすぎたりすることで互換性の問題として現れることがあります。特にWindows 11など最新OSのリリース直後や、古いゲームをキャプチャしようとする際には、OSの「互換性モード」や、システムの「セキュリティ設定」を見直すことが有効な解決策となり得ます。これらは普段あまり触ることのない設定ですが、トラブル解決の突破口となることも少なくありません。

まず互換モードですが、OBS Studioの実行ファイルを右クリックし、「プロパティ」から「互換性」タブを開くことで設定できます。もし使用しているOSよりも古いバージョンのWindows(例:Windows 8)の互換モードでOBS Studioを実行すると、キャプチャAPIの動作が古いOS環境に合わせられるため、特定の古いゲームやアプリケーションとの互換性が向上し、キャプチャが可能になる場合があります。

次に、Windows 11ユーザーが確認すべきセキュリティ設定は、「Windows セキュリティ」内の「デバイスのセキュリティ」セクションにある「コア分離」の設定です。前述したように、この中の「メモリ整合性(HVCI)」などの機能が有効になっていると、OBS Studioのキャプチャがシステムレベルでブロックされることがあります。この設定を無効化することでキャプチャが成功する可能性はありますが、これはシステムのセキュリティレベルを下げる行為となるため、他のセキュリティ対策(強力なウイルス対策ソフトの導入など)を講じた上で、自己責任のもとで実施を検討してください。

互換モードの確認手順

  1. OBS Studioの実行ファイル(obs64.exe)を右クリックし、「プロパティ」を開きます。
  2. 「互換性」タブを選択します。
  3. 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れ、ドロップダウンメニューから「Windows 8」などを選択して試します。

Windowsセキュリティ設定の確認手順

  1. Windowsの検索バーに「Windows セキュリティ」と入力し起動します。
  2. 「デバイスのセキュリティ」-> 「コア分離の詳細」へ進みます。
  3. 「メモリ整合性」が「オン」になっている場合、これを一時的に「オフ」にしてPCを再起動し、キャプチャが可能になるか確認します。(セキュリティリスクを伴うため注意が必要です)

ディスプレイキャプチャが真っ黒な時の設定変更方法

ディスプレイキャプチャは、最も確実性の高いキャプチャ方法であるにもかかわらず、稀に画面が真っ黒になってしまうことがあります。これは、特にマルチディスプレイ環境や、特定のグラフィックドライバを使用している場合に、OBS Studioが使用する画面キャプチャの「方法」(API)と、OSやGPUが提供している画面描画の「方法」が合致していないために起こります。ディスプレイキャプチャのソースプロパティ内で、「キャプチャ方法」を切り替えることで、この問題を解決できることがあります。

OBS Studioでは、通常「自動」設定になっていますが、この「自動」設定が適切に動作しない場合に、手動で特定のキャプチャAPIを選択します。選択肢としては、「BitBlt(ビットブリット)」「DXGI Desktop Duplication(DXGIデスクトップ複製)」「Windows Graphics Capture」などが表示されます。BitBltは最も古典的なキャプチャ方法ですが、特定のGPU環境では動作が不安定になりやすい傾向があります。一方、DXGI Desktop Duplicationは、Windows 8以降のOSで導入された、GPUの描画データを効率的に取得するための新しいAPIであり、多くのケースでキャプチャの安定性を向上させます。

また、Windows Graphics Capture(WGC)はWindows 10 1903以降で利用可能になった最新のAPIで、UWPアプリ(ストアアプリ)などのキャプチャにも強く、最も推奨される方式です。ディスプレイキャプチャが真っ黒な場合は、これらのキャプチャ方法を上から順に切り替えて、プレビュー画面に映像が映るかどうかを確認してみましょう。

キャプチャ方法対応OS/推奨環境特徴
DXGI Desktop DuplicationWindows 8以降最も安定性が高く、特に高性能GPU環境で推奨される。
Windows Graphics CaptureWindows 10 1903以降UWPアプリのキャプチャに強く、セキュリティ的なブロックを回避しやすい。
BitBlt全てのWindows OS互換性は高いが、特定環境でGPUの負荷や表示に問題が出やすい。

最新ドライバやOBS Studioのアップデート確認

キャプチャトラブルの原因が、OSやGPUの設定ではなく、ソフトウェア(OBS Studio)とハードウェア(グラフィックボード)の間の「古さ」や「互換性」にある場合もあります。このため、常に最新のグラフィックドライバとOBS Studioのバージョンを維持することが、安定した配信・録画環境を維持するための基本となります。

グラフィックドライバは、GPUメーカー(NVIDIA、AMD、Intel)が定期的に提供しており、これにはバグ修正、新しいOS機能への対応、そしてパフォーマンスの最適化が含まれています。特に新しいPCゲームがリリースされる時期には、そのゲームに最適化されたドライバが提供されることが多く、このドライバを適用することで、ゲームキャプチャ時の描画エラーが解消されることがあります。ドライバの更新は、NVIDIAの場合はGeForce Experience、AMDの場合はRadeon Softwareといった専用ユーティリティから簡単に行えます。

また、OBS Studio自体も頻繁にアップデートされており、新しいバージョンでは、キャプチャエンジンが改善されたり、Windows 11のセキュリティ機能によるブロックを回避するための新しいキャプチャ方法が実装されたりしています。アップデートは、OBS Studioを起動する際に自動で通知されることがほとんどですが、手動で「ヘルプ」メニューから「アップデートを確認」を選択して最新の状態を保ちましょう。

グラフィックドライバの確認と更新

  1. NVIDIA (GeForce): 「GeForce Experience」アプリを起動し、「ドライバー」タブから最新バージョンをダウンロードしてインストールします。
  2. AMD (Radeon): 「Radeon Software」アプリを起動し、「アップデートの確認」を行います。
  3. Intel (統合GPU): Intelの公式ウェブサイトから「Intel Driver & Support Assistant」をダウンロードし、最新のドライバがないかスキャンします。

参照元:NVIDIA GeForce 公式ドライバページ

どうしても直らない時の再インストール手順【まとめ】

上記のあらゆる対策を試してもなおOBS Studioの画面キャプチャができない場合、それは設定ファイルやシステムレジストリに、過去のバージョンや他のソフトウェアとの競合によって生じた、修復不可能な破損が残っている可能性が高いです。この場合、トラブルシューティングの最終手段として、OBS Studioの「クリーンな再インストール」が極めて有効です。

単にプログラムをアンインストールするだけでなく、「クリーンな」再インストールとは、OBS Studioをアンインストールする際に、ユーザーがこれまでに設定したプロファイルやシーンコレクション、ログファイルなどが保存されているフォルダ(通常は%appdata%\obs-studio)も手動で削除し、完全にまっさらな状態から再導入することを意味します。これにより、過去の設定ミスや破損したファイルの影響を完全に排除し、初期状態の安定したOBS Studio環境を再構築することができます。

ただし、この手順を実行する前に、これまで時間をかけて作成したシーンやソースの設定データが消えてしまうため、必ず事前にプロファイルとシーンコレクションのバックアップを取っておくことを忘れないでください。バックアップは、「プロファイル」メニューや「シーンコレクション」メニューから「エクスポート」を選択することで簡単に実行できます。再インストール後、これらのファイルをインポートし直せば、基本的な設定はすぐに元通りになります。

手順概要備考
1. バックアッププロファイルとシーンコレクションをエクスポートする。重要な設定を失わないために最優先で実施。
2. アンインストールWindowsの「アプリと機能」からOBS Studioを削除する。
3. フォルダ削除%appdata%\obs-studioフォルダを手動で削除する。クリーンインストールに必須のステップ。
4. 再インストール公式サイトから最新版をダウンロードし、インストールする。

参照元:OBS Studio 公式インストールガイド


【まとめ】

  • 管理者権限での実行
    高権限アプリのキャプチャ失敗は、OBSを「管理者として実行」することで解消する可能性が最も高いです。
  • GPU設定の統一
    ノートPCなどデュアルGPU環境では、Windowsのグラフィック設定でOBSとキャプチャ対象アプリのGPUを統一(OBSを省電力側へ)します。
  • キャプチャモードの切り替え
    「ゲームキャプチャ」で失敗したら「ウィンドウキャプチャ」、それでもダメなら「ディスプレイキャプチャ」へと順に試します。
  • セキュリティ設定の確認
    Windows 11で映らない場合は、メモリ整合性(HVCI)などOSのコア分離セキュリティ設定を一時的に見直します。
  • ブラウザのアクセラレーション
    Webブラウザのキャプチャが真っ黒な場合は、ブラウザ設定内のハードウェアアクセラレーションを無効に設定します。
  • 最新ドライバの適用
    グラフィックドライバとOBS Studioのバージョンを最新に保ち、ソフトウェア間の互換性問題を回避します。
  • 互換モードの試行
    古いゲームなどのキャプチャには、OBS StudioをWindows 8などの互換モードで実行してみるのが有効です。
  • キャプチャ方法の変更
    ディスプレイキャプチャのソース設定内で「キャプチャ方法」をDXGI Desktop DuplicationやWGCに変更して安定性を高めます。
  • DRMコンテンツの制限
    Netflixなど著作権保護されたコンテンツは、仕様上キャプチャができないことを理解しましょう。
  • クリーン再インストール
    全て試して解決しない場合は、設定ファイルを削除するクリーン再インストールが最後の解決策となります。

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