Windowsの回復ドライブ作成でつまづいていませんか?「作成が途中で止まってしまう」「エラーコードが出て先に進めない」といったトラブルは意外と多く、PC初心者からベテランまで誰もが直面する可能性があります。
しかし、その原因と対処法さえ知っていれば、慌てることはありません。この記事では、私がこれまで数多くのクライアントのPCトラブルを解決してきた経験から、回復ドライブ作成でよくあるエラーの原因を徹底的に解説し、具体的な解決策と正しい手順をプロの視点から分かりやすくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたはもう回復ドライブ作成のプロです。安心してPC環境をバックアップできるようになります。
【この記事で分かること】
- 回復ドライブ作成が進まない主要な原因とそのチェック方法
- 解決策を試す前の、PCの状態や環境を整えるための正しい手順
- エラーメッセージが出た際のエラーコード別の具体的な対処法
- USBメモリやPC本体に潜む、見落としがちなトラブルの原因と解決策
Windows 回復ドライブ 作成方法が進まない原因を知ろう
Windowsの回復ドライブ作成がうまくいかないとき、闇雲に何度もやり直すのは得策ではありません。まずは、なぜ作成プロセスが止まってしまうのか、その根本的な原因を理解することが問題解決への近道となります。
原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。ここでは、多くのユーザーが直面する代表的な原因を一つずつ見ていきましょう。
よくある原因 | 概要 | 簡易診断 |
容量不足 | USBメモリの容量が足りない。 | 「このPC」でUSBメモリの空き容量を確認。 |
システム破損 | Windowsのシステムファイルが壊れている。 | SFC / DISMコマンドの実行を試みる。 |
ドライバ不具合 | 古い、または互換性のないドライバ。 | デバイスマネージャーで不明なデバイスがないか確認。 |
セキュリティソフト | 作成ツールを脅威と誤検知している。 | セキュリティソフトの設定画面を確認。 |
USBフォーマット | USBメモリのフォーマット形式が不適切。 | エクスプローラーでUSBメモリのプロパティを確認。 |
権限不足 | 管理者権限でツールを実行していない。 | ツールを右クリックし、「管理者として実行」の項目を確認。 |
HDD/SSDエラー | ディスクに物理的・論理的なエラーがある。 | CHKDSKコマンドを実行してみる。 |
回復ドライブに必要なUSBメモリ容量が不足している場合
回復ドライブを作成する際、最もシンプルで、かつ最も見落としがちな原因の一つが、使用するUSBメモリの容量不足です。Windowsの回復ドライブは、OSのシステムファイルや回復環境を保存するため、ある程度の容量を必要とします。
通常、最低でも16GBのUSBメモリが推奨されますが、WindowsのバージョンやPCの環境によっては、これ以上の容量が必要になることもあります。
例えば、Windows 11の最新の大型アップデートが適用されている場合や、PCにプリインストールされているメーカー独自の回復パーティションを含める設定にしている場合などは、32GBやそれ以上の容量が必要になるケースも報告されています。
回復ドライブの作成ツールを起動すると、必要な容量が表示されます。しかし、この表示をきちんと確認せず、「とりあえず家にあった8GBのUSBで試してみよう」と作業を進めてしまうと、途中で容量不足のエラーが発生し、作成プロセスが止まってしまうのです。
このエラーは非常に分かりやすく、「十分な空き領域がありません」といったメッセージが表示されることがほとんどです。
容量不足を解消するには、十分な空き容量を持った新しいUSBメモリを準備するか、既存のUSBメモリのデータをバックアップしてからすべて消去して空き容量を確保する必要があります。このとき、フォーマットを適切に行うことも重要です。
参照元:Microsoft公式サポートページ「Windowsで回復ドライブを作成する」
Windowsのシステムファイルが破損している場合
Windowsの回復ドライブは、システムの中核を成すファイルをコピーして作成されます。もし、その元となるシステムファイル自体が何らかの原因で破損していたり、整合性が取れていなかったりすると、正常にコピー作業が行えず、回復ドライブの作成が途中で失敗してしまいます。
システムファイルの破損は、ウイルス感染、強制終了、不適切なソフトウェアのインストール、SSD/HDDの物理的なエラーなど、さまざまな要因で起こり得ます。
この種のトラブルは、見た目には分かりにくいのが特徴です。PCの動作自体は特に問題なく見えるため、「なぜか回復ドライブだけ作れない」と首を傾げることになります。
しかし、内部ではシステムファイルの参照に失敗し、エラーコードを吐き出してツールが停止している状態です。この場合、単にツールを再起動したり、USBメモリを交換したりしても解決しません。根本的な原因であるシステムファイルの修復が必要となります。
Windowsには、このような問題を診断・修復するための便利なコマンドが標準で備わっています。それがSFC(System File Checker)とDISM(Deployment Image Servicing and Management)**です。
これらのコマンドは、管理者権限で実行する「コマンドプロンプト」や「PowerShell」から利用でき、破損したシステムファイルを自動的に検出・修復してくれます。これらのツールを使いこなすことは、PCトラブル全般の解決に非常に役立ちます。
コマンド | 役割 | 実行タイミング |
SFC | システムファイルの整合性をチェック・修復する。破損したファイルを正常なものに置き換える。 | まず最初に試すべきコマンド。 |
DISM | Windowsイメージ自体を修復する。SFCで解決しない、より深刻な問題に対処する。 | SFCで問題が解決しない場合に実行する。 |
ドライバーやアップデートの不具合が影響している場合
PCを構成する様々なデバイス(USBポート、チップセット、ストレージなど)は、それぞれを正しく動作させるための「ドライバー」というソフトウェアによって制御されています。
このドライバーに不具合があったり、古すぎたりすると、回復ドライブの作成プロセスに影響を及ぼすことがあります。特に、USBポートを制御するドライバーの不具合は、USBメモリへの書き込みエラーに直結し、作成の失敗につながりやすいです。
また、Windows Updateもトラブルの原因になることがあります。通常、Windows Updateはセキュリティの強化や新機能の追加、不具合の修正を行うものですが、ごくまれに特定の環境で不具合を引き起こすことがあります。
過去には、特定のバージョンのWindows Updateが適用されたPCで、回復ドライブの作成が正常に完了しないという事例も報告されています。
これらの問題を解決するには、まずデバイスマネージャーを開き、「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」や「ディスク ドライブ」の項目に、黄色い注意マーク(!)がついているデバイスがないかを確認します。
もし不具合のあるデバイスが見つかった場合は、ドライバーを更新するか、一度削除してWindowsに自動で再インストールさせることで解決することがあります。
Windows Updateが原因と思われる場合は、まず最新のアップデートがすべて適用されているかを確認してください。すでに適用済みで不具合が続いている場合は、一時的に以前のバージョンに戻すか、Microsoftが公式に修正パッチを出すのを待つ必要があります。
トラブルシューティングのステップ
- デバイスマネージャーを開く
「スタート」ボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」を選択します。 - 不具合のあるデバイスを探す
黄色い注意マークがついているデバイスがないか確認します。 - ドライバーを更新する
不具合のあるデバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。 - Windows Updateを確認する
「設定」>「更新とセキュリティ」>「Windows Update」で、最新の状態になっているか確認します。
PCのセキュリティソフトが作成を妨害している場合
市販のセキュリティソフトやWindows標準のWindows Defenderは、PCをマルウェアやウイルスから守るための重要な役割を担っています。しかし、その強力な保護機能が、ときとして回復ドライブの作成ツールを「不正な書き込み」や「システムの変更」を行う危険なプログラムだと誤って判断し、その動作をブロックしてしまうことがあります。
このような誤検知は、特にサードパーティ製のセキュリティソフトを使用している場合に起こりやすいです。
セキュリティソフトは、リアルタイムでPCの動作を監視しており、回復ドライブ作成ツールが行うシステムファイルのコピーや、USBメモリへのブートセクタの書き込みといった処理を不審な挙動とみなし、警告を出したり、プロセスを強制終了させたりすることがあります。
この問題の厄介な点は、セキュリティソフトからの警告が分かりにくい場合があることです。ユーザーは単に「回復ドライブ作成が失敗しました」というメッセージしか見ることができず、その原因がセキュリティソフトにあることに気づかないケースが少なくありません。
対処法としては、回復ドライブを作成する一時的にセキュリティソフトの機能を無効化して試すことが最も手軽で確実な方法です。
ただし、セキュリティソフトを無効にしている間は、インターネット接続を遮断するか、不要なプログラムを起動しないようにするなど、セキュリティ上のリスクに配慮する必要があります。作業が完了したら、速やかにセキュリティソフトを有効に戻すことを忘れないようにしてください。
セキュリティソフトの主な設定項目
- リアルタイム保護
PCの動作をリアルタイムで監視する機能。これを一時的にオフにします。 - 例外設定(ホワイトリスト)
回復ドライブ作成ツール(RecoveryDrive.exe
)をブロック対象から除外する設定。 - ファイアウォール
ネットワーク通信を制御する機能。回復ドライブ作成ツール自体は通常ネットワークアクセスを必要としませんが、念のため設定を確認します。
USBメモリのフォーマット形式が適切でない場合
回復ドライブを作成する際、使用するUSBメモリのフォーマット形式も重要な要素です。Windowsの回復ドライブは、FAT32またはNTFSという特定のファイルシステムでフォーマットされている必要があります。特にFAT32は、古いPCやUEFI(BIOS)環境での起動互換性が高いため、推奨されることが多いです。
しかし、USBメモリを何らかの理由で別のフォーマット形式(例えば、macOSで使われるHFS+や、Linuxで使われるext4など)でフォーマットしていたり、パーティションが正しく設定されていなかったりすると、Windowsがそれを回復ドライブの書き込み先として認識できず、エラーが発生してしまいます。
また、USBメモリが物理的に破損していたり、不良セクタを抱えていたりする場合も、フォーマットが不完全になったり、書き込みエラーが頻発したりする原因になります。
このような場合、USBメモリを再度フォーマットし直すことで問題が解決することがほとんどです。Windows標準のフォーマットツールを使えば、簡単にFAT32やNTFS形式に再フォーマットできます。
再フォーマットの手順
- USBメモリのデータをバックアップ
重要なデータがある場合は、必ず別の場所にバックアップしておきましょう。フォーマットするとデータはすべて消去されます。 - エクスプローラーを開く
USBメモリが接続されている状態で、「PC」を開きます。 - フォーマットを開始
USBドライブを右クリックし、「フォーマット」を選択します。 - 設定を調整
「ファイルシステム」のドロップダウンメニューから「FAT32」または「NTFS」を選択し、「クイックフォーマット」のチェックを外して実行することで、より丁寧なフォーマットが可能です。
管理者権限が不足しているために進まないケース
Windowsの回復ドライブ作成ツールは、システムの重要なファイルや設定を変更するため、通常のユーザー権限では実行できません。管理者権限を持つユーザーとしてPCにログインし、さらにツール自体も「管理者として実行」する必要があります。
もし、通常のユーザーアカウントでツールを起動しようとすると、ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示され、管理者パスワードを求められるか、あるいは「この操作を実行する権限がありません」といったエラーメッセージが表示されます。
しかし、UACのダイアログが何らかの理由で表示されなかったり、見落としたりすると、ユーザーは「なぜかツールが起動しない」「作成ボタンがグレーアウトしている」といった状況に陥りがちです。
この問題は、非常にシンプルですが、意外と気づきにくい落とし穴です。特に、会社で貸与されたPCなど、管理者権限が制限されている環境では、この問題に直面することが多いでしょう。
ハードディスクやSSDにエラーがある場合
Windowsの回復ドライブは、PCのシステムパーティションからシステムファイルを読み取って作成されます。もし、そのシステムパーティションが保存されているハードディスク(HDD)やSSDに論理的または物理的なエラー(不良セクタなど)がある場合、データの読み込みが正常に行えず、回復ドライブの作成が途中で失敗する可能性があります。
論理エラーは、ファイルシステムの不整合などによって発生し、Windows標準の**チェックディスク(CHKDSK)**コマンドで修復できることが多いです。しかし、物理エラー、つまりHDD/SSDのハードウェア自体に問題がある場合は、専門的な修復ツールを使用するか、最悪の場合、ストレージ自体の交換が必要になることもあります。
CHKDSKコマンドの実行方法
- コマンドプロンプトを管理者として実行
「スタート」ボタンを右クリックし、「Windows ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択します。 - コマンドを入力
chkdsk C: /f /r
と入力してEnterキーを押します。(C:はシステムドライブ。環境によって変更が必要です。) - 再起動
次回再起動時にチェックディスクが実行されるか確認を求められるので、「Y」を入力してPCを再起動します。
CHKDSKは、ファイルシステムの不整合を修復し、不良セクタを検出して使用不能にマークします。この作業には時間がかかるため、時間に余裕のある時に実行しましょう。
Windows 回復ドライブ 作成方法の解決策と正しい手順

ここからは、前章で解説した原因別に、具体的な解決策と正しい手順を一つずつ解説していきます。トラブルの原因が特定できた方も、まだ分からない方も、この手順に従って一つずつ試していけば、きっと問題は解決するはずです。
【以下で分かること】
- 回復ドライブ作成に必要な容量と正しいUSBメモリの選び方
- PCのシステムを健全な状態に戻すためのコマンドの使い方
- セキュリティソフトやWindows Updateが原因の場合の対処法
- 回復ドライブ作成を成功させるための正しい手順
必要な容量を満たしたUSBメモリを準備する
回復ドライブ作成の失敗で最も多い原因の一つ、容量不足を解決するためには、まず適切なUSBメモリを準備することが第一歩です。Windowsの回復ドライブは、OSのシステムファイルやPCメーカー独自の回復環境をバックアップするため、最低でも16GB以上の容量を推奨します。
最新のWindows 11環境や、多くのアプリがインストールされている場合は、32GB以上の容量を持ったUSBメモリを用意するとより安心です。
USBメモリは、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。安価なノーブランド品の中には、表示されている容量と実際の容量が異なっていたり、書き込み速度が極端に遅かったり、不良セクタが多かったりする製品も存在します。これらの問題は、回復ドライブ作成の失敗に直結します。
USBメモリ選びのポイント
- 容量
最低でも16GB、可能であれば32GB以上。 - 信頼性
SanDisk、Kingston、Transcend、東芝(KIOXIA)、バッファローなど、実績のあるメーカーの製品を選ぶ。 - USB規格
USB 3.0/3.1/3.2に対応したものが望ましい。書き込み速度が速く、作業時間が短縮されます。
新しいUSBメモリを準備したら、念のためフォーマットを行います。Windowsの標準ツールを使えば、簡単にFAT32形式にフォーマットできます。
フォーマットの手順(再掲)
- USBメモリをPCに接続し、「PC」を開く。
- USBドライブを右クリックし、「フォーマット」を選択。
- 「ファイルシステム」をFAT32に設定し、「クイックフォーマット」のチェックを外して実行。
システムファイルをチェックして修復する(SFC / DISMコマンド)
回復ドライブ作成が失敗する原因がシステムファイルの破損にある場合、Windows標準の**SFC(System File Checker)とDISM(Deployment Image Servicing and Management)**コマンドを使って修復を試みます。これらのコマンドは、破損したシステムファイルを自動的に検出・修復する強力なツールです。
ステップ1:SFCコマンドの実行 まず、SFCコマンドから試します。このコマンドは、PC内のシステムファイルの整合性をチェックし、破損しているファイルがあれば、正常なキャッシュファイルに置き換えます。
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「Windows ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す。
sfc /scannow
- スキャンが完了するまで待ちます。「検証 100% 完了しました。」というメッセージが表示されたら終了です。
ステップ2:DISMコマンドの実行 SFCコマンドで問題が解決しない場合は、より強力なDISMコマンドを実行します。DISMは、Windowsのイメージ自体を修復するコマンドで、SFCが参照するキャッシュファイル自体が破損している場合に有効です。
- SFCコマンドと同様に、管理者権限でコマンドプロンプトを起動。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
- このコマンドはネットワーク経由で正常なファイルをダウンロードするため、インターネットに接続されている必要があります。完了まで時間がかかることがあります。
これらのコマンドを実行した後は、念のためPCを再起動してから、再度回復ドライブの作成を試みてください。
参照元:Microsoft公式サポート「Windows 10 でシステム ファイル チェッカーを使う」
Windows Updateを適用して環境を整える
Windows Updateは、PCのセキュリティを強化し、不具合を修正するための重要なプロセスです。回復ドライブ作成がうまくいかない場合、最新のWindows Updateが適用されていないことが原因である可能性があります。まずは、PCを最新の状態に保つことがトラブル解決の第一歩です。
Windows Updateの確認と実行手順
- 「スタート」ボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 「更新とセキュリティ」または「Windows Update」を選択。
- 「更新プログラムのチェック」ボタンをクリック。
- 利用可能な更新プログラムがあれば、ダウンロードとインストールを許可します。
- インストール完了後、PCの再起動を求められたら、指示に従って再起動します。
Windows Updateを適用することで、回復ドライブ作成ツール自体のバグが修正されたり、関連するシステムコンポーネントが最新の状態に更新されたりする可能性があります。
Windows Updateで解決しない場合 もし最新のWindows Updateを適用しても問題が解決しない場合、特定のアップデートが原因で不具合が発生している可能性も否定できません。この場合、一時的に不具合の原因となっている可能性のあるアップデートをアンインストールすることで、問題が解決することがあります。
アップデートのアンインストール手順
- 「設定」>「更新とセキュリティ」>「更新の履歴を表示」を選択。
- 「更新プログラムをアンインストールする」をクリック。
- 最近インストールされたアップデートの中から、不具合の原因となっている可能性のあるものを選択し、「アンインストール」ボタンをクリックします。
セキュリティソフトを一時的に無効化して試す
セキュリティソフトが回復ドライブの作成を妨害している可能性がある場合、一時的にその機能を無効化することで問題が解決するかどうかを試すことができます。ただし、この作業はセキュリティ上のリスクを伴うため、十分な注意が必要です。
セキュリティソフト無効化の正しい手順
- ネットワークを遮断
Wi-Fiを切断するか、LANケーブルを抜くなどして、PCのインターネット接続を遮断します。これにより、セキュリティソフトが無効になっている間に、外部からの脅威にさらされるリスクを最小限に抑えられます。 - セキュリティソフトの機能を一時停止
セキュリティソフトのメイン画面を開き、「リアルタイム保護の停止」や「一時的に無効にする」といった設定を探して実行します。多くのソフトでは、右クリックメニューから簡単に一時停止できる機能が備わっています。 - 回復ドライブ作成を試す
セキュリティソフトが無効になっている状態で、再度回復ドライブの作成ツールを起動し、作業が正常に完了するか確認します。 - セキュリティソフトを有効に戻す: 回復ドライブの作成が完了したら、速やかにセキュリティソフトの機能を有効に戻し、ネットワーク接続を再開します。
注意点:
- セキュリティソフトを無効にしている間は、絶対に怪しいサイトにアクセスしたり、未知のファイルをダウンロードしたりしないでください。
- セキュリティソフトの設定によっては、特定の期間が経過すると自動的に有効に戻るものもあります。その場合でも、作業が終わり次第、手動で有効に戻す癖をつけましょう。
USBメモリをFAT32またはNTFSで再フォーマットする
USBメモリのフォーマット形式が不適切だったり、不良セクタがあったりする場合、回復ドライブの作成が失敗します。この問題を解決するには、USBメモリを正しいファイルシステムで再フォーマットし、健全な状態に戻すことが最も確実な方法です。
再フォーマットの手順(詳細版)
- データのバックアップ
USBメモリ内の重要なデータをすべてPCの別の場所にコピーしてバックアップします。 - エクスプローラーからフォーマット
USBメモリをPCに接続し、「PC」を開きます。該当のUSBドライブを右クリックし、「フォーマット」を選択します。 - ファイルシステムを選択
「ファイルシステム」のドロップダウンメニューから**「FAT32」または「NTFS」**を選択します。どちらでも回復ドライブは作成可能ですが、FAT32は古いPCとの互換性が高いというメリットがあります。 - フォーマットの実行
「ボリュームラベル」は任意で設定し、「クイックフォーマット」のチェックを外して実行します。クイックフォーマットを外すことで、不良セクタのチェックも同時に行われ、より健全な状態に戻すことができます。ただし、この作業は時間がかかります。
コマンドプロンプトでのフォーマット(上級者向け) Windows標準のフォーマットツールでうまくいかない場合は、コマンドプロンプトのDiskPartコマンドを使うと、より詳細なフォーマットが可能です。
- 管理者権限でコマンドプロンプトを起動。
diskpart
と入力してEnter。list disk
と入力し、PCに接続されているディスクの一覧を表示。- USBメモリのディスク番号を確認し、
select disk [番号]
を入力。 clean
と入力し、USBメモリのパーティション情報をすべて消去。create partition primary
と入力し、新しいパーティションを作成。format fs=fat32 quick
またはformat fs=ntfs quick
でフォーマット。active
と入力し、パーティションをアクティブ化。assign
と入力してドライブ文字を割り当て。
このDiskPartコマンドは強力な反面、操作を誤るとPC内の他のドライブのデータを消してしまう危険性があるため、十分に注意して行ってください。
管理者権限で作業を行う方法
回復ドライブ作成ツールは、システムの重要な部分にアクセスするため、必ず管理者権限で実行する必要があります。もし権限不足で失敗している場合は、以下の手順で正しくツールを起動し直してください。
管理者として実行する手順
- スタートメニューから起動
「スタート」ボタンをクリックし、「回復ドライブの作成」と入力します。 - 右クリックで実行: 検索結果に表示された「回復ドライブの作成」アプリを右クリックし、表示されたメニューから「管理者として実行」を選択します。
- ユーザーアカウント制御(UAC)
「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」というUACのダイアログが表示されたら、「はい」をクリックして続行します。
また、回復ドライブ作成ツールだけでなく、システムファイルチェッカーやチェックディスクなどのコマンドを実行する際も、同様にコマンドプロンプトやPowerShellを「管理者として実行」する必要があります。
ユーザーアカウントの確認
そもそも、今ログインしているユーザーアカウントが管理者権限を持っているかどうかを確認することも重要です。
- 「設定」>「アカウント」>「家族とその他のユーザー」を選択。
- 自分のユーザーアカウント名の下に「管理者」と表示されているか確認します。
- もし「ローカルアカウント」と表示されている場合は、管理者アカウントでログインし直すか、管理者に権限を変更してもらう必要があります。
ディスク診断ツールでエラーを確認・修正する
回復ドライブの作成元となるHDDやSSDに物理的なエラーや論理的な不具合がある場合、それらを修復してからでないと、いくら試しても作成は成功しません。ここでは、Windows標準の**チェックディスク(CHKDSK)**コマンドを使ってディスクを診断・修復する方法を解説します。
CHKDSKコマンドの実行手順
- 管理者としてコマンドプロンプトを起動: 「スタート」ボタンを右クリックし、「Windows ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択します。
- コマンドを入力:
chkdsk C: /f /r
と入力してEnterキーを押します。(C:はシステムドライブ。他のドライブをチェックしたい場合は、ドライブレターをD:やE:などに変更してください。)/f
: ディスク上のエラーを修正します。/r
: 不良セクタを検出して、読み取り可能な情報を回復します。
- 再起動の確認: システムドライブ(C:)をチェックする場合、「次回のシステム起動時に、このボリュームのチェックを実行するように予約しますか?」と尋ねられるので、「Y」を入力してEnterキーを押し、PCを再起動します。
再起動後の注意点: 再起動すると、Windowsの起動前に自動的にチェックディスクが実行されます。この作業はPCのストレージ容量や状態にもよりますが、数十分から数時間かかることがあります。途中で電源を切ったり、強制終了させたりしないように、時間に余裕をもって行いましょう。
より詳細なディスク診断ツール CHKDSKで問題が解決しない、または物理的なエラーが疑われる場合は、より高度な診断ツールを使用することも検討しましょう。
- クリスタルディスクインフォ(CrystalDiskInfo): HDD/SSDのS.M.A.R.T.情報(自己診断機能)を読み取って、健康状態を「正常」「注意」「異常」の3段階で表示してくれる無料ツール。
- メーカー純正の診断ツール: HDD/SSDメーカーが提供している専用の診断ツール。例えば、SeagateのSeaTools、Western DigitalのData Lifeguard Diagnosticsなど。
これらのツールを使ってディスクの状態を確認し、「異常」と表示された場合は、ストレージの交換を検討する必要があるかもしれません。
Windows 回復ドライブ 作成方法まとめ【まとめ】
Windowsの回復ドライブ作成は、いざという時のための保険です。失敗してしまっても、焦らず一つずつ原因と解決策を試していくことが重要です。
以下に、回復ドライブ作成を成功させるための重要なポイントをまとめました。
- 回復ドライブ作成前に、必ず必要な容量(最低16GB、推奨32GB以上)を持ったUSBメモリを準備しましょう。
- USBメモリは信頼できるメーカー製のものを選び、念のためFAT32形式で再フォーマットしてから使いましょう。
- システムファイルの破損が疑われる場合は、管理者権限でSFCとDISMコマンドを実行して修復を試みましょう。
- 作成が途中で止まる場合は、セキュリティソフトがツールをブロックしていないか確認し、一時的に無効化して試してみましょう。
- ドライバーやWindows Updateの不具合が原因の場合もあるため、Windows Updateを最新の状態に保ち、デバイスマネージャーで不具合がないか確認しましょう。
- 回復ドライブ作成ツールを起動する際は、必ず右クリックメニューから「管理者として実行」を選択しましょう。
- HDDやSSDにエラーがある場合は、CHKDSKコマンドや専用の診断ツールでディスクの状態を確認し、修復を試みましょう。
- 複数のPCで試してみて、特定のPCだけで問題が発生する場合は、そのPCのハードウェアやソフトウェア環境に固有の問題がある可能性が高いです。
- エラーコードが表示された場合は、そのエラーコードをインターネットで検索し、具体的な原因と解決策を探すことが問題解決への近道です。
何よりも大切なのは、焦らずに落ち着いて一つずつ原因を潰していくことです。この記事があなたのPCトラブル解決の一助となれば幸いです。
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